〔第22問〕(配点:3)
次の【事例】に関し、自白の補強証拠について述べた後記アからオまでの【記述】のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。なお、甲の自白を含む各証拠について、その証拠能力及び証明力に問題はないものとする。(解答欄は、[№36])
【事 例】
甲は、令和8年4月5日、警察署を訪れ、司法警察員Kに対し、「私は、以前からVを恨んでおり、乙と共に、Vを殺してVの死体を海に捨てる計画を立てていた。私は、この計画に従い、まず、令和8年2月15日午後6時頃、乙の家で、乙と一緒にVを殺した。私がVを後ろから羽交い締めにしている間、乙が両手でVの首を絞めてVを殺した。その1時間後、私は、乙から指示され、私一人で、乙が所有する自動車にVの死体を載せ、乙の家から10キロメートル離れたところにある岸壁までこの自動車を運転してVの死体を運び、この岸壁からVの死体を海に捨てた。私は、これまで一度も運転免許を取得したことはなかったが、乙は、そのことを知らなかったと思う。」などと供述し、殺人、死体遺棄、道路交通法違反(無免許運転)の罪を自白した。そこで、Kは、このような甲の自白を内容とする供述調書(以下「本件調書」という。)を作成した。他方、Kは、乙に対する取調べを行ったが、乙は一切の供述を拒否したため、乙の供述を内容とする供述調書は作成されなかった。その後、甲及び乙は、いずれも、殺人罪及び死体遺棄罪の各共同正犯で起訴された。また、甲は、道路交通法違反(無免許運転)の罪についても併せて起訴された。甲及び乙のこれらの罪については、併合審理されることになった。
【記 述】
ア.公判期日における被告人質問に際し、甲が殺人罪について自白した場合、本件調書をこの自白の補強証拠とすることができる。
イ.本件調書を唯一の証拠として甲を殺人罪で有罪とすることはできないが、本件調書を唯一の証拠として乙を殺人罪で有罪とすることはできる。
ウ.甲を殺人罪で有罪とするには、甲の実行行為のみならず、甲の故意についても、補強証拠が必要不可欠である。
エ.甲を死体遺棄罪で有罪とするには、Vの死体を撮影した写真等のVの死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠である。
オ.甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とするには、甲の運転行為のみならず、甲が無免許であることについても、補強証拠が必要不可欠である。