〔第5問〕(配点:2)
生存権の法的性格に関し,国民が立法者に対して立法その他の措置を要求する権利を定めたものであると解するが,具体的権利性については否定する見解(いわゆる抽象的権利説)がある。この見解に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№11])
ア.この見解の理由として,資本主義経済においては,個人の生活について自助の原則が妥当し,生存権を具体的権利とする前提を欠いていること,及び国が国民に生存権を保障する場合,その実現には予算を伴うが,予算の配分は財政政策上の問題として国の裁量に委ねられていることも挙げることができる。
イ.この見解に立つと,生活保護法に基づいて決定された保護が,正当な理由がないにもかかわらず不利益に変更された場合,その変更について争う裁判において,その変更が生活保護法の規定する不利益変更禁止の原則に違反することに加え,憲法第25条にも違反するとの主張ができる。
ウ.この見解は,憲法第25条の趣旨に応えて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は,立法府の広い裁量に委ねられており,それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるを得ないような場合を除き,裁判所が審査判断するのに適しないと判示した堀木訴訟判決(最高裁判所昭和57年7月7日大法廷判決,民集36巻7号1235頁)と矛盾する。