〔第23問〕(配点:3)
違法収集証拠の証拠能力に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものには1を,誤っているものには2を選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,アからオの順に[№33]から[№37])
ア.違法に収集された証拠物の証拠能力が否定されるか否かは,専ら憲法の解釈に委ねられており,憲法第31条の適正手続の保障自体の要請として,証拠物の収集手続に重大な違法があり,これを使用して被告人を処罰することによって手続全体が適正を欠くものとなる場合に限って,その証拠能力が否定される。[№33]
イ.被告人を逮捕する際に逮捕状の呈示がなく,逮捕状の緊急執行もされていないという違法がある場合,警察官が逮捕手続の違法を糊塗するため,逮捕時に逮捕状を呈示した旨の虚偽を逮捕状に記入した上,同旨の内容虚偽の捜査報告書を作成し,さらに,公判廷において,同旨の内容虚偽の証言をしたという事情が存するとしても,これらは逮捕後に生じたものであるから,その逮捕当日に任意に採取された尿の鑑定書の証拠能力を判断するに当たり,これを考慮することはできない。[№34]
ウ.証拠物の収集手続にその証拠能力を否定すべき重大な違法があるか否かを判断するに当たり,手続違反がなされた際の状況や適法になし得た行為からの逸脱の程度を考慮することはできるが,警察官の,令状主義に関する諸規定を潜脱しようとの意図の有無を考慮することはできない。[№35]
エ.違法な捜査手続の結果収集された証拠物が犯罪の立証上重要なものであればあるほど,その証拠能力を否定することは,事案の真相の究明との抵触が大きくなるため,逮捕手続に重大な違法が認められる場合であっても,その逮捕中に被告人が任意に提出した尿から覚せい剤成分が検出された旨の鑑定書は,同人の覚せい剤使用の罪に係る公判において,証拠能力が否定されることはない。[№36]
オ.ある証拠物が収集された直接の手続のみに着目すれば違法が認められない場合でも,それに先行する捜査手続(先行手続)に重大な違法があって,当該証拠物がその先行手続と密接な関連を有するときは,その証拠能力が否定されることがある。[№37]