〔第23問〕(配点:2)
次の【事例】に関する教授と学生AないしDの【会話】のうち,誤った発言をしている学生は何人いるか。後記1から5までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,[№33])【事例】甲は,令和2年3月1日,H市内の甲方において,乙から現金30万円を受け取り,同日,同所において,公務員である丙に対して,乙から受け取った同現金30万円を交付した。【会話】教 授:この事例について,検察官が,「甲は,丙と共謀の上,令和2年3月1日,H市内の甲方において,乙から賄賂金30万円を収受した。」という収賄罪の共同正犯の訴因で起訴したとします。審理の結果,裁判所が,当該賄賂金の授受があった日は,令和2年3月10日であり,場所は,H市内の丙方であるとの心証を形成した場合,裁判所は,どうすべきですか。学生A:訴因の機能は,裁判所に対し審判の対象を限定するとともに,被告人に対し防御の範囲を示すことにあります。審理の経過に鑑み,犯罪の実行行為がなされた日時場所について,訴因と異なる日時場所を認定することにより,被告人に不意打ちを与える場合には,その防御に実質的な不利益を与えることになります。その場合には,訴因変更の手続を経ずに,「甲は,丙と共謀の上,令和2年3月10日,H市内の丙方において,乙から賄賂金30万円を収受した。」という事実を認定することはできません。学生B:裁判所は,検察官に対して,心証に沿った事実を内容とする訴因への変更を促し,検察官が応じない場合には,訴因の変更を命ずることが考えられます。学生C:裁判所は,検察官が訴因変更命令に応じなかったとしても,訴因変更命令により訴因が変更されたものとして,「甲は,丙と共謀の上,令和2年3月10日,H市内の丙方において,乙から賄賂金30万円を収受した。」という事実を認定して,有罪判決を言い渡すことができます。教 授:それでは,裁判所は,審理の結果,甲が,令和2年3月1日,H市内の甲方において,乙から現金30万円を受け取り,同日,同所において,公務員である丙に対して,同現金30万円を交付した事実は間違いないが,収賄罪の共同正犯ではなく,「甲は,乙と共謀の上,丙に対し,賄賂金30万円を供与した。」という贈賄罪の共同正犯が成立するとの心証を形成したとします。その場合,裁判所は,どうすべきですか。学生D:この場合,一連の同一の行為についての法的評価を異にするにすぎないので,訴因変更の手続を経ることなく,贈賄罪の共同正犯を認定して,有罪判決を言い渡すことができます。