〔第13問〕(配点:4)
【事例】に関するアからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し、正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからオの順に[No.15]から[No.19])
【事 例】
甲は、偶然、A方に夕方まで家人がいないことを知ったことから、A方に侵入して金品を窃取しようと考えた。甲は、A方に侵入して金品を窃取している最中にA又はA方の家人が帰宅した場合に備え、窃取した金品の取戻しを防ぐために使う目的で、自宅から出刃包丁を持ち出し、自転車に乗ってA方に向かった(①)。甲は、A方に近づいた際、予想外にAが帰宅していることに気付いたことから、自ら実行すると検挙される可能性が高いと考え、12歳の長男乙を呼び出して、乙に上記出刃包丁を手渡し、同出刃包丁をAに突き付けて脅迫する方法によりAから金品を強取してくるよう指示した。乙には是非弁別能力があり、甲の指示は乙の意思を抑圧するものではなかった。乙は、小遣い欲しさから、自らの意思により強盗の犯行を決意して、その指示を承諾した。その後、乙は、A方内に侵入し、上記出刃包丁をAに突き付けて脅迫した上、A方にあった電源コードでAを緊縛するなど臨機応変に対処して、A所有のネックレス(時価70万円相当)を強取した(②)。その後、甲は、自ら上記ネックレスを売却すると検挙される可能性が高まると考え、知人の丙に対し、A方から同ネックレスを強取したことを話した上で、同ネックレスの売却のあっせんを無報酬で依頼した。丙は、甲から、上記ネックレスを受け取り、丁にその買取りを持ち掛け、これに応じた丁に同ネックレスを50万円で売却した(③)。丙は、丁から上記50万円を受け取ったが、自身も金に困っていたため、売却後、同50万円を自己の借金返済に充てようという気持ちが芽生え、甲に無断で同50万円を丙自身の借金返済に費消した(④)。甲は、丙に対し、上記売却代金を引き渡すよう求めたところ、丙が使い込みを認めたことから、丙に対し、甲が運転する自動車を故意に丙に衝突させて丙に傷害を負わせた上で、甲の過失による交通事故であるように装って保険金を詐取しようと持ち掛け、丙がこれを了承した。甲は、自身が運転する自動車を歩行中の丙に故意に衝突させ、丙に全治約1か月間を要する骨盤骨折等の傷害を負わせた(⑤)。
【記 述】
ア.①につき、A方に向かう途中で甲が警察官の職務質問を受けて検挙された場合、甲に強盗予備罪は成立しない。[No.15]
イ.②につき、甲に強盗罪の間接正犯は成立しない。[No.16]
ウ.③につき、丙に盗品等有償処分あっせん罪は成立しない。[No.17]
エ.④につき、丙に横領罪は成立しない。[No.18]
オ.⑤につき、甲に傷害罪は成立しない。[No.19]