〔第18問〕(配点:3)
AがBとの間の売買契約に基づきBに対して2000万円の売買代金債権を有している。この場合における詐害行為取消権に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。なお、各記述において、Bは、無資力であり、各行為が債権者を害することを知っていたものとする。(解答欄は、[No.18])
ア.支払不能の状態にあるBは、Cに対する債務を弁済した。この場合、Aを害する意図がCにあったとしても、Bとの通謀がなければ、Aは、当該弁済について詐害行為取消請求をすることができない。
イ.Bは、Dに対する500万円の借入金債務について、Bが所有する2000万円相当の土地をもってDに代物弁済した。この場合において、当該代物弁済が債権者を害することをDが知っていたときは、Aは、Dに対し、当該代物弁済のうち500万円に相当する部分以外の部分について詐害行為取消請求をすることができる。
ウ.Bは、Aとの間で売買契約を締結する前に、Eに対する債権をFに譲渡していたものの、その譲渡についての確定日付のある証書によるEへの通知は、Aの売買代金債権の発生後にされた。この場合、Aは、当該通知について詐害行為取消請求をすることができる。
エ.AとBとの間で、売買代金債権について強制執行をしない旨の合意が成立していた。この場合、Bがその所有する土地をGに贈与し、当該贈与が債権者を害することをGが知っていたとしても、Aは、当該贈与について詐害行為取消請求をすることができない。
オ.Bがその所有する動産甲をHに贈与し、更にHが甲をIに贈与し、それぞれ引渡しがされた。この場合において、Aは、Iに対する詐害行為取消請求において財産返還を請求することができるときは、Hに対する詐害行為取消請求において価額償還を請求することができない。