〔第29問〕(配点:2)

不当利得に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.29])

ア.甲土地につき抵当権の設定を受け、その旨の登記をしたAは、甲土地についての不動産競売事件の配当期日において配当異議の申出をしなかった場合には、Aに対する優先権を有しないにもかかわらず配当を受けた一般債権者Bに対し、不当利得に基づく返還請求をすることができない。

イ.善意の受益者がその利得に法律上の原因がないことを認識した後にその利益が消滅したときは、その受益者は、現に利益が存しないことを理由として不当利得に基づく返還請求を拒むことができない。

ウ.未登記の建物が不倫関係の維持を目的として贈与され、その建物の引渡しがされたときは、贈与者は、受贈者に対し、不当利得に基づいてその建物の返還を請求することができない。

エ.不法な原因のために給付をした者は、不法な原因が受益者についてのみ存した場合であっても、給付したものの返還を請求することができない。

オ.Aがその所有する動産をBに贈与し、その引渡しをしたことが不法原因給付に該当し、不当利得に基づく動産の返還請求をすることができないときは、Aは、Bに対し、所有権に基づく動産の返還請求をすることもできない。