〔第2問〕(配点:3)

憲法第19条の保障する思想・良心の自由に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.2]から[No.4])

ア.企業者が特定の思想、信条を有する者を、それを理由に雇い入れることを拒んでも、当然に違法とすることはできず、企業者が労働者の採否決定に当たり、その者の思想、信条を調査し、そのためにその者から関連事項について申告を求めることも違法行為とすべき理由はないが、いったん労働者を雇い入れ、その者に雇用関係上の一定の地位を与えた後では、特定の信条を有することを理由として解雇することは違法である。[No.2]

イ.司法書士の業務の円滑な遂行による公的機能の回復に資するため、大震災により被災した他県の司法書士会に支援金を寄付することは、司法書士会の権利能力の範囲内にあるというべきであり、このような支援金寄付のため、司法書士会が会員から負担金を徴収することは、司法書士会が強制加入団体であることを考慮しても、会員の政治的又は宗教的立場や思想信条の自由を害するものではない。[No.3]

ウ.企業内においても労働者の思想、信条等の精神的自由は十分尊重されるべきであることから、企業が労働者に対し、その者が特定の政党に所属するかどうかに関する書面の提出を求めることは、それがたとえ企業の組織秩序の維持を目的とする調査の一環であり、強要にわたるような態様のものでなかったとしても、社会的に許容し得る限界を超えて労働者の精神的自由を侵害した違法行為である。[No.4]

No.2

No.3

No.4