〔第10問〕(配点:2)
次の対話は、憲法第24条に関する教授と学生の対話である。教授の各質問に対する次のアからウまでの学生の各回答について、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.20])
教授.再婚禁止期間違憲判決(最高裁判所平成27年12月16日大法廷判決、民集69巻8号2427頁)は、婚姻の自由の憲法上の位置付けについてどのように述べていましたか。
ア.この判決は、憲法第24条第1項は、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解され、このような婚姻の自由について、憲法第24条第1項の規定の趣旨に照らし、十分尊重に値するものと解することができる、と述べています。
教授.再婚禁止期間違憲判決は、民法第733条第1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は、憲法第14条第1項、第24条第2項に違反するに至っていたと判断しましたが、同判決は、民法第733条第1項の立法目的やDNA検査により親子関係の有無が確認できることについて、どのように述べていましたか。
イ.同判決は、民法第733条第1項の立法目的は、女性の再婚後に生まれた子につき父性の推定の重複を回避し、もって父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあったとし、現代社会においては、DNA検査技術が進歩し、極めて高い確率で生物学上の親子関係の有無が確認できるようになったことから、その立法目的は合理性を欠くに至ったと述べています。
教授.夫婦同氏を定める民法第750条が憲法第24条に違反しないという見解は、婚姻前の氏を通称として使用することが近時社会的に広まっていることを、論拠とすることはできるでしょうか。
ウ.婚姻により氏を改める者は、氏を改めることにより、いわゆるアイデンティティの喪失感を抱くなど、様々な不利益を受けることがありますが、通称使用が近時社会的に広まっていることは、今述べた不利益を一定程度緩和することにつながります。したがって、教授がおっしゃった見解は、通称使用が拡大していることを論拠とすることができます。