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司法試験 / 刑法(短答)

2023年 司法試験 刑法(短答式) 第2問 解説

  • 刑法各論

解説

AI 生成

この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。

問題と選択肢

〔第2問〕(配点:2)

暴行罪及び傷害罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、誤っているものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.6])

ア.相手方の眼前に抜き身の日本刀を突き付けたとしても、その刃が同人に接触しない限り、暴行罪が成立することはない。

イ.相手方の意思に反して、その耳元で楽器を大音量で鳴らし続けた場合には、人の身体に対して不法な攻撃を加えたものとして暴行罪が成立し得る。

ウ.ひそかに相手方に睡眠薬を摂取させ、2時間にわたり意識を失わせるとともに筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせたとしても、覚醒後の健康状態に支障がない場合には、傷害罪が成立することはない。

エ.性病を有する者が、性行為を行えば相手方に感染させる危険性があると認識しながら、情を秘して同人と性行為を行い、同人に性病を感染させたとしても、同人が性行為に同意している場合には、傷害罪が成立することはない。

オ.相手方に暴行を加えて負傷させた者が、傷害結果が発生することについて認識を欠いている場合には、傷害罪が成立することはない。

  1. 1.1個
  2. 2.2個
  3. 3.3個
  4. 4.4個正解
  5. 5.5個

正解: 4

暴行罪 (刑法 208 条) と傷害罪 (刑法 204 条) の成立範囲を、判例の立場に従って各肢ごとに検討する。

暴行罪における「暴行」は人の身体に対する不法な有形力の行使をいい、必ずしも身体への接触を要しない。傷害罪は結果犯であり、生理的機能の障害を生じさせれば成立し、行為者には暴行の故意があれば足りる (傷害結果の認識は不要)。被害者の同意は違法性阻却事由となり得るが、その有効性は動機・目的・手段・方法等を総合して判断される。

ア. 誤り。最決昭39.1.28(日本刀振り回し事件) は、狭い室内で被害者を脅かすために日本刀の抜き身を数回振り回した行為について、刃が身体に接触していなくとも暴行罪 (刑法 208 条) に該当するとした。眼前に抜き身の日本刀を突き付ける行為は、振り回す場合と同様、人の身体に対する不法な有形力の行使と評価されうるため、接触の有無で一律に暴行罪不成立とする本肢の立場は判例と整合しない。

イ. 正しい。最判昭29.8.20(大太鼓・鉦連打事件) は、室内で相手方の身辺で大太鼓・鉦等を連打し、頭脳の感覚が鈍り意識もうろうとする気分を与え、または脳貧血を起こさせる程度に達する行為も、刑法 208 条にいう「人の身体に対する不法な攻撃」に含まれるとした。耳元で楽器を大音量で鳴らし続ける行為も、被害者の身体に向けられた音響的攻撃として暴行罪が成立し得る。

ウ. 誤り。最決平24.1.30(睡眠薬投与傷害事件) は、睡眠薬等を摂取させて約 2 時間にわたり意識障害および筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為について、傷害罪 (刑法 204 条) を構成するとした。傷害とは生理的機能の障害をいい、意識障害と筋弛緩はそれ自体が生理的機能の障害にあたる以上、覚醒後の健康状態に支障が残らなくとも傷害罪は成立する。

エ. 誤り。判例上、暴行によらず病毒を感染させる行為も傷害罪を構成すると解されている 1。また、被害者の同意があっても、最決昭55.11.13(保険金詐取目的衝突事件) は、同意の有効性は承諾の事実だけでなく、その動機・目的・身体傷害の手段・方法・損傷の部位・程度等の諸般の事情に照らして決すべきとした。情を秘して性病を感染させる場合、被害者は感染という法益侵害について認識を欠いているため、性行為自体への同意は感染結果についての真意の同意とはいえず、傷害罪の違法性は阻却されない。

オ. 誤り。最判昭25.11.9(傷害罪結果犯事件) は、傷害罪は結果犯であって、その成立には傷害の原因たる暴行についての意思があれば足り、特に傷害の意思を必要としないとした。暴行を加えて相手方を負傷させた以上、傷害結果の認識を欠いていても傷害罪 (刑法 204 条) は成立する。

誤っているのはア・ウ・エ・オの 4 個。よって正解は 4。

Footnotes

  1. 暴行によらず病毒を感染させる行為も傷害罪を構成すると解する判例があるとされる。若井綜合法律事務所「傷害罪の有名判例を弁護士が解説」https://wakailaw.com/keiji/9105 ; デイライト法律事務所「病気を人にうつしてしまったら犯罪か?」https://www.daylight-law.jp/criminal/boryoku/syogai/qa10/ ; あいち刑事事件総合法律事務所「性感染で傷害」https://keiji-bengosi.com/%E6%80%A7%E6%84%9F%E6%9F%93%E3%81%A7%E5%82%B7%E5%AE%B3/

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