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司法試験 / 刑法(短答)

2023年 司法試験 刑法(短答式) 第4問 解説

  • 刑法各論

解説

AI 生成

この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。

問題と選択肢

〔第4問〕(配点:2)

次の1から5までの各事例における甲の罪責について判例の立場に従って検討した場合、甲に窃盗罪が成立しないものはどれか。(解答欄は、[No.9])

  1. 1.甲は、V宅内において、Vが所在を見失っていたV所有の指輪を発見し、これを自己のものにしようと考えて無断で持ち去った。
  2. 2.甲は、Vが海中に取り落としたV所有の金塊について、Vからおおよその落下場所を教えてもらった上で回収を依頼され、Vの眼前で同所に潜り、同金塊を同所付近で発見したものの、これを自己のものにしようと考えて無断で持ち去った。
  3. 3.甲は、看守者のいない仏堂に所有者Vが据え置いてまつっていた仏像を、自己のものにしようと考えて無断で持ち去った。
  4. 4.甲は、Ⅴが乙から窃取した乙所有の腕時計を、これが盗品であることを知りながら自己のものにしようと考えて、Ⅴ宅に忍び込んで無断で持ち去った。
  5. 5.甲は、満員電車内において、乗客Vが網棚にかばんを置き忘れたままA駅で下車したのを目撃し、B駅で下車する際、同かばんを自己のものにしようと考えて無断で持ち去った。正解

正解: 5

窃盗罪 (刑法 235 条) の成否は、客体が「他人の財物」であり、かつ犯行時点で被害者の占有が継続しているかどうかで決する。占有が離脱していれば 235 条は成立せず、占有離脱物横領罪 (刑法 254 条) の客体となり得るにとどまる。占有説に立つ判例は、適法・違法を問わず事実上の占有自体を 235 条の保護法益とする 1

事例客体V の占有罪責
1V 宅内の指輪継続 (屋内支配)窃盗罪成立
2海中の金塊継続 (依頼直後)窃盗罪成立
3仏堂の仏像継続 (場所・用法的固定)窃盗罪成立
4乙所有の腕時計 (盗品)盗人 V の占有あり窃盗罪成立
5網棚のかばん離脱占有離脱物横領罪のみ
  1. 窃盗罪成立。屋内という閉鎖的空間における財物は、所有者がその所在を一時的に失念していても、当該住居の事実的支配 (= 屋内空間的支配) のもと V の占有が継続していると評価される 2。甲の無断持ち去りは V の占有を侵害する。

  2. 窃盗罪成立。V は落下場所をおおよそ把握した上で甲に回収を依頼し、眼前で潜水させているから、V の事実的支配と支配意思は継続している。甲は依頼を受けて潜水しているにとどまり、独自の事実的支配を未だ取得していない。「無断で持ち去った」段階で初めて V の占有を排他的に奪取することになり、V の占有を侵害する。

  3. 窃盗罪成立。看守者がいなくとも、仏堂という場所的固定 + まつるという用法的固定により、所有者 V の占有 (事実的支配) は継続していると解される 2。甲の無断持ち去りは V の占有を侵害する。

  4. 窃盗罪成立。客体は乙所有の腕時計であり、甲との関係でそもそも他人の財物 (235 条) に当たる (242 条の擬制を経由する必要はない)。論点は、盗人 V の占有が 235 条の保護法益として保護されるかであり、判例は占有説に立ち、適法・違法を問わず事実上の占有自体を保護する 1。V 宅という閉鎖的支配領域に忍び込んで持ち去る行為は V の占有を侵害する。

  5. 窃盗罪成立せず。最決平16.8.25(公園ベンチ・ポシェット事件) は、ベンチに置き忘れたポシェットを被害者がベンチから約 27m 離れた時点で領得した行為につき、なお被害者の占有が及ぶとして窃盗罪を肯定した。本問は、V が網棚にかばんを置いたまま A 駅で下車し、甲は B 駅で下車する際に領得しており、距離的・時間的隔絶がポシェット事件の射程を大きく超える。V の事実的支配は失われており、客体は占有を離れた他人の物 (刑法 254 条) として、占有離脱物横領罪が成立するにとどまる 2

よって甲に窃盗罪が成立しないものは事例 5、正解は 5。

Footnotes

  1. 占有説の代表例として、第三者の占有を侵害する行為に窃盗罪を認めた判例があるとされる (弁護士法人リコネス「窃盗罪の保護法益について」 https://recones-law.com/2025/03/%E7%AA%83%E7%9B%97%E7%BD%AA%E3%81%AE%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%B3%95%E7%9B%8A%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/ ; 早稲田大学リポジトリ「窃盗罪における占有」早稲田法学会誌 69 巻 2 号 https://waseda.repo.nii.ac.jp/record/46055/files/WasedaHogakuKaishi_69_2_1.pdf)。 2

  2. 安里全勝「窃盗罪における占有の範囲: 最高裁平成16年8月25日決定の検討」山口経済学雑誌 57 巻 5 号 269 頁以下 (2007) https://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/15946/files/149870 ; 大塚裕史『応用刑法 II 各論』第 1 講「窃盗罪の保護法益」(日本評論社、2024) https://www.web-nippyo.jp/wp-content/uploads/2024/04/a6010fdf4e39d664614f1c97c821ddd2.pdf ; 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所「置き忘れた物の取得〜窃盗?占有離脱物横領?」 https://kobe-keijibengosi.com/okiwasuretamononoshutoku-settou-senyuridatsubutsuouryou/。 2 3

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