司法試験 / 刑法(短答)
2023年 司法試験 刑法(短答式) 第3問 解説
- 刑法総論
解説
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▸問題と選択肢
〔第3問〕(配点:3)
次の【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち、誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は、[No.7]、[No.8]順不同)
【判旨】
共謀共同正犯が成立するには、二人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって、このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではないと解する。
【記述】
- 1.【判旨】を前提にすると、殺意を有する者と傷害の故意にとどまる者との間で共謀共同正犯が成立する余地はない。正解
- 2.【判旨】は、共同正犯の成立には、実行行為の一部を分担することは必要ないとの立場に立っている。
- 3.【判旨】は、共謀共同正犯の成立には、単に関与者の内心における意思の合致があるだけでは十分でなく、客観的な謀議行為が必要であるとする考えと矛盾しない。
- 4.【判旨】に対しては、共同正犯を教唆及び幇助と区別することが困難になるとの批判がある。
- 5.【判旨】を前提にすると、共謀共同正犯の成立には、実行行為を行わない者が実行行為者に対して指揮命令をすることが必要である。正解
正解: 1, 5
本問の【判旨】は最大判昭33.5.28(練馬事件)が共謀共同正犯肯定説を一般法理として確立した部分の引用。判旨が要件として掲げる事項と、そこから導かれる効果の射程を読み分ける問題。
| 記述 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 誤り | 判旨は構成要件の異同に触れていない。重なり合う限度での共同正犯成立を排除しない |
| 2 | 正しい | 判旨末尾「実行行為に直接関与したかどうか…共犯の刑責自体の成立を左右するものではない」と一致 |
| 3 | 正しい | 判旨は「謀議をなし」と要件化、内心合致を超えた客観的謀議行為説と矛盾しない |
| 4 | 正しい | 共謀共同正犯肯定説に対する古典的批判の典型 |
| 5 | 誤り | 判旨は「共同意思の下に一体となつて互いに他人の行為を利用」とするのみで、指揮命令を要件としていない |
記述 1 について。判旨は「特定の犯罪を行うため」「共同意思の下に一体となつて互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議」を要件とするが、関与者間で故意の内容に食い違いがある場合の処理は判示の射程外。判旨を前提としても、構成要件が重なり合う限度では「共同意思の下に一体となつて」謀議をなしたと評価しうる以上、殺意者と傷害故意者との間で共謀共同正犯が成立する余地は残る。「成立する余地はない」と断じるのは判旨の射程を不当に広げる誤読。
記述 2 について。判旨は明示的に「実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではない」と判示する。実行行為の一部分担は共同正犯の成立要件ではないという立場を判旨は取っており、記述 2 はこの効果論を正確に言い換えたもの。
記述 3 について。判旨は「謀議をなし」と要件化しており、内心における意思合致だけでは足らず外形的な謀議行為を要求すると読める。これは客観的謀議行為説と矛盾しない (むしろ整合する)。よって判旨と整合する記述。
記述 4 について。共謀共同正犯肯定説は、実行行為に関与しない者を刑法 61 条 (教唆犯)・刑法 62 条 (従犯) ではなく刑法 60 条の共同正犯として処罰する立場であるため、共同正犯と教唆・幇助の区別が曖昧化するという批判は古典的な反対論。判旨に対する批判として成立する。
記述 5 について。判旨は「共同意思の下に一体となつて互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移す」と表現するが、「互いに他人の行為を利用」という相互的文言は対等な共謀の形態も包含する。指揮命令関係 (主従関係) は共謀共同正犯の典型事例ではあるが、判旨が成立要件として要求しているわけではない。判旨を前提に「指揮命令が必要」と読むのは誤り。
よって誤っているのは記述 1 と記述 5。