〔第22問〕(配点:2)
次の【事例】における【乙の証人尋問】中の⑴から⑷までの下線部分に関する後記アからオまでの【記述】のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄は、[№36])
【事例】
乙は、暴力団の構成員である甲と共謀の上、対立する暴力団の構成員が多数在室していた事務所の外壁にガソリンをまいて着火し、同事務所を全焼させたとの現住建造物等放火の事実で逮捕された。乙は、捜査段階で検察官に対し、「私の運転する車で事務所に赴き、甲が同所で降車してガソリンをまいて着火した。甲とは、私の兄である丙の紹介で知り合い、本件で使用した車やガソリンは丙が準備したものである。」などと甲との共謀や丙の関与を認める供述をし、その内容の検察官面前調書が作成された。その後、乙は、甲との共同被告人として起訴された。第1回公判期日では、甲は、公訴事実について、「乙と共謀をしたことはなく、実行行為をしたこともない。」旨を述べて否認し、甲の弁護人は検察官が取調べを請求した前記乙の検察官面前調書について不同意である旨の意見を述べた。一方、乙は、公訴事実を認め、甲と乙の公判は分離された。その後、乙は、甲の公判期日に証人として呼ばれた。
【乙の証人尋問】
裁判長宣誓をしてください。
乙⑴宣誓(以下省略)
検察官⑵あなたは現住建造物等放火罪で起訴されていますね。
乙はい。
検察官⑶その事件を誰と一緒に行ったのですか。
乙甲さんと一緒にやりました。
検察官今回の事件についてあなたが関わることになったきっかけや、あなたの役割について教えてください。
乙⑷答えたくありません。
【記述】
ア.乙は、自らも同一の事件で公訴提起されていることを理由に、下線部⑴の宣誓を拒むことはできない。
イ.下線部⑵、⑶の尋問方法は、いずれも誘導尋問であり、主尋問では許されない。
ウ.下線部⑷において、答えたくない理由が、「自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある」ことであったとしても、乙が証言を拒むことができない場合もある。
エ.下線部⑷において、乙は、兄である丙が「刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある」ことを理由に、丙に関する事項についての証言を拒むことができる。
オ.下線部⑷において、乙は、真実の証言をしたとしても、その内容が検察官面前調書の内容と齟齬したときには偽証罪の訴追を受けるおそれがあることを理由に、証言を拒むことができる。
№36