〔第16問〕(配点:2)
後記【事例】に関する次のアからオまでの【記述】のうち、【見解】に示す考え方からの帰結として正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄は、[№22])
【事例】
甲には、乙宅において、乙に対して暴行を加え、その反抗を抑圧して、乙所有の財布を強取したという強盗の事実の嫌疑が認められる。
【見解】
Ⅰ.逮捕に引き続く勾留の理由となる被疑事実は、先行する逮捕の理由とされた被疑事実と同一のものでなければならない。
Ⅱ.実体法上一罪の関係にある被疑事実を理由とする身体拘束は、一回に限り認められる。
Ⅲ.身体拘束に関する処分は、明示的に身体拘束の理由とされている被疑事実について行われるもので、それ以外の事実のみに基づいて行われてはならない。
【記述】
ア.【見解】Ⅰによれば、検察官は、甲が【事例】中の強盗の被疑事実について逮捕された場合に、逮捕中の捜査の結果を踏まえて恐喝に評価を改め、その逮捕に引き続き、乙に対する恐喝の被疑事実を理由として甲の勾留を請求することはできない。
イ.【見解】Ⅰによれば、検察官は、甲が【事例】中の強盗の被疑事実について逮捕された場合に、これに引き続いて、別に判明した、甲の丙に対する強盗の被疑事実のみを理由として甲の勾留を請求することはできない。
ウ.【見解】Ⅱによれば、司法警察員は、【事例】中の強盗の被疑事実を乙に対する暴行の被疑事実と乙に対する窃盗の被疑事実に分割し、甲が暴行の被疑事実で逮捕、勾留された後に、改めて、窃盗の被疑事実で逮捕状を請求することはできない。
エ.【見解】Ⅱによれば、司法警察員は、甲が【事例】中の強盗の被疑事実について逮捕された後、これに引き続く勾留請求が却下された場合に、甲が【事例】中の強盗を行うための手段として乙宅に侵入した旨の住居侵入の被疑事実(【事例】中の強盗の被疑事実と牽連犯の関係に立つものとする)を理由として、甲の逮捕状を請求することができる。
オ.【見解】Ⅲによれば、検察官は、【事例】中の強盗の被疑事実を理由とする勾留の延長を請求するに当たり、並行して実施している別の被疑事実の捜査から判明した事情は、前記強盗の被疑事実に関連するとしても、これを示すことはできない。
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