〔第21問〕(配点:2)

訴因変更に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄は、[№35])

ア.「Aを脅迫して現金を強取した」という強盗の訴因で起訴された甲について、「Aに暴行を加えて現金を交付させた」という恐喝の事実を認定するには、訴因変更の手続を要しない。

イ.「乙と共謀の上、Vに対し、殺意をもって、甲が、Vの頸部を絞め付け、窒息死させて殺害した」という殺人の共同正犯の訴因で起訴された甲について、「乙と共謀の上、Vに対し、殺意をもって、甲又は乙あるいはその両名において、Vの頸部を絞め付け、窒息死させて殺害した」という事実を認定するには、公判で、殺害行為を行ったのが甲と乙のいずれなのかが争点となっていたとしても、訴因変更の手続を要する。

ウ.「ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏んだ過失により、自車を前方のA運転の自動車に追突させ、Aに傷害を負わせた」という過失運転致傷の訴因で起訴された甲について、「A車の後ろに進行接近する際、ブレーキをかけるのが遅れた過失」を認定するには、訴因変更の手続を要する。

エ.日時、場所、方法を特定した覚醒剤使用の訴因を、別の日時、場所、方法の覚醒剤使用の訴因に変更することは、いずれの訴因も被告人の尿中から検出された同一の覚醒剤の使用行為に関するものである場合には、公訴事実の同一性に欠けることはなく、許される。

オ.「A方に侵入し、現金10万円を窃取した」という住居侵入・窃盗の訴因を、別の日時に「B方に侵入し、現金15万円を窃取した」という住居侵入・窃盗の訴因に変更することは、両訴因の事実が、実体法上は常習特殊窃盗罪を構成する場合であっても、公訴事実の同一性を欠くため、許されない。

№35