最高裁判所第一小法廷
作成中供述録取書公文書毀棄事件
最判 昭和57年6月24日 ・ 刑集36巻5号646頁
刑法 258 条「公務所ノ用ニ供スル文書」 の客体
- 裁判年月日
- 1982-06-24
- 事件番号
- 昭和54(あ)1647
- 出典
- 刑集36巻5号646頁
事案の概要
被疑者不詳の窃盗被疑事件の 参考人 として取り調べられていた被告人が、 事実上身体の自由を拘束し実質上逮捕と同視しうる状態で行われた 警察官 の違法な取調べの過程で、 作成されつつあった自己の参考人供述録取書を引き裂いた事案。 原判決は、違法な取調べのもとに作成中の録取書は刑法上の保護に値せず刑法 258 条の客体に当たらないとして無罪とした。最高裁第一小法廷は、 同条にいう公務所の用に供する文書とは「公務所において現に使用し又は使用に供する目的で保管している文書」 を総称するものであるとしたうえで、完成させるために用いられた手段方法がたまたま違法であっても、 既に文書としての意味・内容を備えるに至っている以上、 将来公務所において適法に使用することが予想されなくはなく、 そのような場合に備えて公務所が保管すべきものであるから、同条の客体に当たると判示し、 原判決及び第一審判決を 破棄自判 した (懲役 3 月、執行猶予 1 年)。 上告したのは検察官。