〔第5問〕(配点:2)
政教分離原則に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[No.9])
ア.政教分離原則に基づく憲法の諸規定は,我が国における宗教事情の下で信教の自由を確実に実現するためには,単に信教の自由を無条件に保障するのみでは足りず,国家といかなる宗教との結び付きをも排除する必要性が大きかったことから設けられたものであり,国家と宗教との完全な分離を理想とし,国家の非宗教性ないし宗教的中立性を確保しようとしたものである。
イ.憲法第20条第3項の禁止する「宗教的活動」とは,国及びその機関と宗教とのかかわり合いが相当とされる限度を超え,当該行為の目的が宗教的意義を持ち,その効果が宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるような行為をいうのであり,靖国神社の祭礼に際し,知事が玉串料として公金を支出して奉納した行為は,たとえそれが戦没者の慰霊及びその遺族の慰謝を直接の目的としてされたものであったとしても,これに該当する。
ウ.天皇の即位に伴って行われる皇室の儀式である大嘗祭に際し,知事が公費で出張した上,これに参列し拝礼した行為は,地方公共団体の長という公職にある者の社会的儀礼として,日本国及び日本国民統合の象徴である天皇の即位に祝意を表する目的で行われたものにすぎず,宗教とかかわり合いのある行為とはいえないから,憲法第20条第3項の禁止する「宗教的活動」には該当しない。
No.9