〔第4問〕(配点:3)
遺棄の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[No.5],[No.6]順不同)
No.5,No.6(2つ選んでください)
1.遺棄罪(刑法第217条)の成立には,生命に対する危険の発生が必要である。
2.妊婦の依頼を受け,母体保護法上,許されない堕胎を行った産婦人科医師が,それにより出生した未熟児について,医療設備の整った病院に搬送することが容易であり,同病院の医療を受けさせれば,同児が短期間内に死亡することはなく,むしろ生育する可能性がある場合において,そのことを認識しながら,生存に必要な保護を行わず同児を死亡させたときは,同医師に,保護責任者遺棄等致死罪(刑法第219条,第218条)が成立し得る。
3.保護責任者遺棄等罪(刑法第218条)にいう「老年者,幼年者,身体障害者又は病者」は,例示列挙であり,同罪の客体はそれらの者に限られず,扶助を必要とする者であれば足りる。
4.保護責任者遺棄等致傷罪(刑法第219条,第218条)には,傷害結果に故意がある場合は含まれない。
5.保護責任者遺棄等罪(刑法第218条)における遺棄には,置き去りは含まれない。