〔第13問〕(配点:2)

幇助犯の成否について,学生A及びBが次の【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑤までの()内に後記アからオまでの【事例群】から適切な事例を入れた場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.23])

【会話】

学生A.(①)に,乙に幇助犯は成立すると思うか。

学生B.幇助行為と結果との間に,物理的因果性も心理的因果性もないと思うので,乙に幇助犯は成立しないだろう。

学生A.(②)は,どうだろうか。

学生B.乙の行為の有無にかかわらず,生じた結果は同じだったと考えると,共犯行為と結果との間の因果関係に欠けるという結論になるようにも思えるね。

学生A.しかし,幇助犯は,正犯の実行が容易になり,結果の発生が促進されたという関係さえあれば,行為と結果との因果関係を認めるのが判例だろう。

学生B.なるほど。乙がいることで甲が安心でき,精神的に後押ししたという心理的因果性がありそうなので,乙に幇助犯の成立を認めるべきだね。

学生A.(③)は,どうだろうか。

学生B.(②)と同じ理由で,乙に幇助犯の成立が認められるように思う。ただ,教唆犯の成立を認める余地もあるかもしれないね。

学生A.(④)は,どうだろうか。

学生B.判例は片面的幇助を肯定する以上,乙に幇助犯が成立するんじゃないか。

学生A.(⑤)は,どうだろうか。

学生B.この場合,乙の立場を考えれば,幇助犯が成立すると思うよ。

【事例群】

ア.乙が,甲が空き巣に入ろうとしていることを知りながら,甲に黙ってV方玄関の施錠を外したところ,甲が玄関からV方に侵入し,空き巣に成功した場合

イ.乙が,空き巣に入ろうと決意していた甲から頼まれ,甲が空き巣に入る際,見張りをしていたところ,特に何も起きないまま,甲が空き巣に成功した場合

ウ.甲が万引きをしようとしていることを目撃した店員乙が,甲と意思を通じることなく,甲の万引きを黙認し,甲が万引きに成功した場合

エ.甲が空き巣に入ることを知り,乙が甲に黙って見張りをしていたが,特に何も起きないまま,甲が空き巣に成功した場合

オ.乙が空き巣に使うことができるものとしてV方の合鍵を甲に渡したため,甲がV方に行ったが,無施錠であったため合鍵を使わず,空き巣に成功した場合

No.23