〔第11問〕(配点:4)
次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[No.17]から[No.21])
ア.甲及び乙は,深夜,路上を一人で歩いていたV女を見付け,約6キロメートル先のひとけのない工事現場にV女を連れ込んで強制的にV女と性交しようと決意し,二人でV女の背後からその身体を抱きかかえながら,付近に停めていた自動車にV女を押し込んで乗せ,同車を発進させたが,性交には至らなかった。甲及び乙には,強制性交等未遂罪の共同正犯が成立する。[No.17]
イ.甲は,強制的にV女と性交しようと決意し,深夜,路上において,V女を押さえ付けて反抗を抑圧したが,付近から人の声が聞こえたため性交を諦めて,V女のハンドバッグから財布を奪い取ろうと考え,「騒ぐな。殺すぞ。」と申し向けてV女の畏怖心を強めた上,財布を奪い取った。甲には,強盗・強制性交等未遂罪が成立する。[No.18]
ウ.甲は,Vが居住する木造家屋に火をつけて焼損しようと考え,同家屋台所において,プロパンガスを多量かつ長時間にわたり放出するとともに,ガソリン約18リットルを撒布したが,点火行為には至らなかった。甲には,現住建造物等放火未遂罪が成立する。[No.19]
エ.甲は,Vを殺害する意思で,毒入りの菓子を箱詰めし,それをV宅に宛てて宅配便で発送した。しかし,仕事に嫌気が差した配達員により,その菓子は配達途中に川に捨てられた。甲には,殺人未遂罪が成立する。[No.20]
オ.甲は,V宅に侵入し,金品を強取しようと決意し,Vを脅すためのナイフを入手した上,それを携行してV宅に向かった。しかし,V宅に至る手前で,罪悪感を覚え,計画を中止することに決め,自宅に引き返した。甲には,強盗予備罪の中止犯が成立する。[No.21]
No.17
No.18
No.19
No.20
No.21