〔第18問〕(配点:2)
死者の占有に関して、教授及び学生が次の【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑥までの()内に後記【語句群】から適切な語句を入れた場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちのどれか。なお、①から⑥までの()内にはそれぞれ異なる語句が入る。(解答欄は、[No.30])
【会話】
教授.死者が生前身に付けていた財物を領得した場合の罪責については、見解の対立があるね。まず、甲がAを殺害した直後、その殺害行為とは無関係の乙が、Aが身に付けていた財布を領得した場合の乙の罪責は、判例の立場に従うとどうなるかな。
学生.(①)ことになります。
教授.そうだね。では次に、丙が当初から財物を領得する意思でBを殺害し、Bの死亡直後に財布を領得した場合の罪責は、判例の立場に従うとどうなるかな。
学生.その場合には(②)ことになります。
教授.そうだね。この場合には、殺害行為と領得行為を一体として評価することができるね。それでは、丁がCを殺害し、その直後に財物を領得する意図を生じてCが身に付けていた財布を領得した場合、丁はいかなる罪責を負うだろうか。まず、判例の立場に従うとどうなるだろう。
学生.その場合には(③)と考えられますので、(④)ことになります。
教授.そうだね。しかし、判例の考え方に対しては、(⑤)と批判する立場があるけれども、そのような立場からすると、丁の罪責はどのように考えられるだろうか。
学生.(⑥)ことになります。
【語句群】
a.窃盗罪が成立する
b.殺人罪及び遺失物等横領罪が成立する
c.遺失物等横領罪が成立する
d.強盗殺人罪が成立する
e.強盗殺人罪及び遺失物等横領罪が成立する
f.殺人罪及び窃盗罪が成立する
g.死者も占有の主体として保護されるべき
h.生前の占有を遡って侵害することはできない
i.被害者が生前に有していた占有が侵害される
j.法益の保護が十分でない
No.30