最高裁判所第一小法廷
無銭飲食詐欺事件
最決 昭和30年7月7日 ・ 刑集9巻9号1856頁
- 裁判年月日
- 1955-07-07
- 事件番号
- 昭和30(あ)478
- 出典
- 刑集9巻9号1856頁
事案の概要
代金支払の意思なき被告人が、 そうでないもののように装って料亭で飲食・宿泊した上、 知人を見送る旨を申し向けて店先に出たまま逃亡した事案。最高裁第一小法廷は、 刑法 246 条 2 項の「財産上不法の利益を得」 とはすべて相手方の意思によって財産上不法の利益を得る場合をいうとしたうえで、その利益が債務の支払を免れたことであるとするには「相手方たる債権者を欺罔して債務免除の意思表示をなさしめることを要するものであつて、 単に逃走して事実上支払をしなかつただけで足りるものではない」 と判示し、逃走をもって代金支払を免れた詐欺罪の既遂とした原判決を失当とした。もっとも、 第一審が確定した事実 (「代金支払の意思がないにもかかわらず然らざるものの如く装つて」 宿泊・飲食した) を前提とすれば「逃亡前すでにBを欺固して、 代金三二二九〇円に相当する宿泊、 飲食等をしたときに刑法二四六条の詐欺罪が既遂に達したと判示したものと認めることができる」 として、 逃走に関する判示は犯罪の成立については無用の判示であるとし、上告を棄却した。