〔第5問〕(配点:2)
次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.10])
ア.甲は、Aが居住するA所有の家屋に放火し、同家屋を全焼させた上、同家屋に隣接するBが居住するB所有の家屋にも火を燃え移らせて同家屋を全焼させた。この場合、甲には2個の現住建造物等放火罪が成立し、これらは観念的競合となる。
イ.甲は、行使の目的で1万円札を偽造し、Aが経営する商店において、事情を知らないAに対し、1万円の商品の購入を申し込み、その代金として偽造の1万円札をAに手渡して同商品の交付を受けた。この場合、甲には通貨偽造罪、偽造通貨行使罪及び詐欺罪が成立し、これらは牽連犯となる。
ウ.暴力団員甲及び乙は、対立する暴力団員A及びBを襲撃して殺害することを共謀し、路上を連れ立って歩いていたA及びBを待ち構えた上で、甲がAを、乙がBを、それぞれ殺害した。この場合、甲及び乙を共同正犯とする2個の殺人罪が成立し、これらは併合罪となる。
エ.甲は、酒に酔った状態で、自動車を無免許で運転した。この場合、甲には酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。
オ.甲は、恐喝目的でAを監禁し、監禁のための暴行等により畏怖しているAを更に脅迫して現金を喝取した。この場合、監禁罪と恐喝罪が成立し、これらは牽連犯となる。
No.10