〔第7問〕(配点:2)
学生A及びBは、次の【事例】における甲の罪責について、後記【会話】のとおり議論している。
【会話】中の①から⑤までの()内に後記【語句群】から適切な語句を入れた場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。なお、①から⑤までの()内にはそれぞれ異なる語句が入る。(解答欄は、[No.16])
【事例】甲は、殺意をもって、Xの腕の静脈内に蒸留水と空気を注射したが、当該空気量が疾病のない健常人に対する致死量未満であったためXは死ななかった。また、甲は、当該空気量が上記致死量未満とは知らなかった。なお、当該空気量であっても被注射者の身体的条件等によっては死亡する危険はあった。
【会話】
学生A.未遂犯と不能犯の区別に関してはいろいろな考え方がありますが、行為の時点において一般人が認識し得た事情と行為者が特に知っていた事情を基礎とし、一般人が結果発生の危険を感じる場合には可罰的未遂を肯定する考え方に立ち、本事例では一般人が結果発生の危険を感じるとすれば、甲に殺人未遂罪が(①)ことになりますね。
学生B.この考え方に対しては、(②)ことになるという批判がありますね。では、結果発生の危険性を事後的客観的に判断する考え方に立った場合、甲の罪責をどう考えますか。
学生A.(③)という考え方によれば、身体的条件等によっては死亡の危険があったので、甲に殺人未遂罪が成立します。一方で、結果発生の危険性を事後的客観的に判断する考え方を徹底すれば、(④)ことになりませんか。
学生B.そうとは限りませんよ。結果が発生しなかった原因究明と同時に、いかなる事情があれば結果発生があり得たかを明らかにし、(⑤)可能性を判断すれば妥当な結論を導けます。
【語句群】
a.成立するb.成立しないc.迷信犯に未遂犯を認める
d.印象で未遂犯処罰を決める
e.行為者の認識内容が客観的真実に合致するか否かによって区別する
f.結果発生の絶対的不能・相対的不能によって区別する
g.行為者の誤信が相当と認められる
h.結果発生をもたらす仮定的事実が存在し得た
i.結果不発生の原因を解明できた場合、すべて不能犯となる
No.16