〔第15問〕(配点:2)
文書偽造の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものはどれか。(解答欄は、[No.26])
No.26
1.公務員でない甲は、行使の目的で、情を知らない市役所の係員Aに虚偽の申立てをして、市長名義の虚偽の課税証明書を作成させた。この場合、甲に虚偽公文書作成罪は成立しない。
2.甲は、無免許で自動車を運転中に取締りを受けた際、かねてより知人Aから氏名等の使用の許諾を受けていたことから、Aの氏名等を称し、行使の目的で、交通事件原票中の供述書欄末尾に「A」と署名した。この場合、甲に私文書偽造罪は成立しない。
3.甲は、Aに100万円を貸し付けていたが、Aから借用書を徴していなかったため、行使の目的で、Aに無断で、甲から100万円を借用した旨のA名義の借用書を作成した。この場合、甲に私文書偽造罪は成立しない。
4.甲は、民間団体Aから国際運転免許証の作成を委託され、行使の目的で、外観が正規の国際運転免許証に酷似するA名義の文書を作成したが、Aに正規の国際運転免許証を発給する権限はなく、甲もそのことを知っていた。この場合、甲に私文書偽造罪は成立しない。
5.甲は、同姓同名の弁護士がいることを利用して弁護士を装い、不動産業者Aから土地調査の依頼を受け、行使の目的で、作成名義人として「弁護士甲」と記載した土地調査に関する書面を作成しAに交付した。この場合、甲に私文書偽造罪は成立しない。