〔第1問〕(配点:4)

次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し、正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからオの順に[No.1]から[No.5])

ア.甲は、客観的にわいせつ性を有する書籍につき、その内容を確認して理解したものの、この程度では刑法上のわいせつな文書には該当しないと考え、同書籍を多数の者に販売した。この場合、甲にわいせつ物頒布罪は成立しない。[No.1]

イ.甲は、A方前路上に置かれていた自転車を、Aの所有物と認識して持ち去ったが、実際には同自転車は捨てられた物であり、誰の所有にも占有にも属さないものであった。この場合、甲に遺失物等横領罪が成立する。[No.2]

ウ.甲は、男性Aが、酩酊して暴れ回る女性Bを介抱するために取り押さえているのを見て、AがBに対し無理矢理わいせつ行為に及ぼうとしていると誤信し、Bを助けるため、自己の暴行の内容を認識しつつAに暴行を加え、傷害を負わせた。甲の暴行の程度が、甲が認識した急迫不正の侵害に対する防衛手段としての相当性を超えていた場合であっても、甲に傷害罪は成立しない。[No.3]

エ.甲は、乙に対し、A方に侵入して金品を窃取するように唆したところ、乙は、犯行を決意し、A方に侵入しようとしたが、施錠を解錠できず、犯行を断念した。帰路において、乙は、B方に侵入し、Bから金品を強取した。甲の教唆行為と乙のB方における住居侵入及び強盗との間に因果関係が認められない場合であっても、甲に住居侵入罪及び窃盗罪の教唆犯が成立する。[No.4]

オ.甲は、乙が窃取したバッグを、これが盗品かもしれないがそれでも構わないと思って購入した。この場合、甲に盗品等有償譲受け罪が成立する。[No.5]

No.1

No.2

No.3

No.4

No.5