〔第19問〕(配点:3)
身分犯の共犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№34],[№35]順不同)
№34,№35(2つ選んでください)
1.刑法第65条の身分には一時的な心理状態は含まれないので,目的犯に当たる犯罪行為を,当該目的を有する者と有しない者が共同して行った場合,同条の適用の余地はない。
2.刑法第65条第2項は加減的身分のない者が当該身分のある者に加功した場合について規定するものであるので,賭博の常習性を有する者が有しない者に賭博を教唆した場合,同項の適用の余地はない。
3.非占有者が業務上の占有者による横領行為に加功した場合,当該非占有者には,刑法第65条第1項の適用により業務上横領罪の共犯が成立し,同条第2項の適用により単純横領罪の刑が科される。
4.刑法第65条の身分は,一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態の全てを指称するものであるので,責任能力のある者が刑事未成年者を教唆して犯罪を行わせた場合,同条が適用される。
5.自首による刑の減免は一身的な事由であるので,共犯者のうち一人に自首が成立する場合,刑法第65条第1項の適用はなく,その減免の効果は自首した者以外には及ばない。