〔第9問〕(配点:2)
生存権に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[No.17])
ア.憲法第25条にいう「健康で文化的な最低限度の生活」は,抽象的・相対的な概念であって,その具体的な内容は,その時々における文化の発達の程度,経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに,同規定を現実の立法として具体化するに当たっては,国の財政事情を無視することができず,高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とする。
イ.憲法第25条の生存権を具体化する趣旨の法律として,生活保護法等の法律が制定された場合,その法律は憲法第25条と一体をなし,かかる法律の定める給付水準を正当な理由なくして引き下げることは憲法上許されない。
ウ.憲法第25条第2項で定める防貧施策については広い立法裁量が認められる一方,同条第1項で定める救貧施策については,国は国民の最低限度の生活を保障する責務を負い,前者よりも厳格な違憲審査基準が用いられる。
No.17