〔第11問〕(配点:2)

主権に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[No.21])

ア.国民主権の原理に基づき,国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであることからすると,外国人が普通地方公共団体の公務員に就任することは,その者が公権力の行使に当たる行為を行うかどうかにかかわらず,本来我が国の法体系の想定するところではない。

イ.裁判員制度は国民主権の理念に沿って司法の国民的基盤の強化を図るものであり,裁判員の職務等が司法権の行使に対する国民の参加という点で参政権と同様の権限を国民に付与するものであることからすると,裁判員の職務等を憲法第18条後段が禁ずる「苦役」に当たるということは,必ずしも適切ではない。

ウ.天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であるが,この地位は主権の存する日本国民の総意に基づくものであるとともに,民事裁判権が国民に由来する司法権の一作用であることからすれば,天皇に裁判所の民事裁判権が及ばないものと解することはできない。

No.21