〔第5問〕(配点:4)
違法性に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に,[№6]から[№10])
ア.殺人被告事件の弁護人が,同被告事件の真犯人は被告人の兄であると考え,第一審の有罪判決後に行った記者会見で「同被告事件の真犯人は被告人の兄である。」旨発表した場合,弁護活動の一環として行ったものであるから,正当な業務行為として違法性が阻却され,名誉毀損罪は成立し得ない。[№6]
イ.宗教家が,異常な言動を示すようになっていた娘を連れてきた信者の求めに応じ,その娘の不調の原因を取り去る目的で,宗教上の行為として,同人の身体を手で押さえ付け,流れ落ちる滝の水を同人の顔面に打ち当てた結果,同人を窒息死させた場合,宗教活動の一環として行ったものであるから,正当な業務行為として違法性が阻却され,傷害致死罪は成立し得ない。[№7]
ウ.現行犯人を逮捕しようとする私人が,犯人から抵抗を受け,逮捕のために社会通念上必要かつ相当な範囲で実力を行使し同人に傷害を負わせた場合,法令による行為として違法性が阻却され,傷害罪は成立し得ない。[№8]
エ.借地人が,自己の借地内にある自己所有の店舗を増築する必要に迫られ,その借地内に突き出ている隣の家屋の屋根をその所有者の承諾なく切除した場合,自救行為として違法性が阻却され,建造物損壊罪は成立し得ない。[№9]
オ.新聞記者が,取材の目的で国家公務員に秘密漏示を唆した場合,取材の自由は憲法上保障される表現の自由に由来し,十分尊重されるべきであるから,正当な業務行為として違法性が阻却され,国家公務員法違反の罪(秘密漏示教唆罪)は成立し得ない。[№10]
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