〔第16問〕(配点:4)

放火の罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[№24]から[№28])

ア.甲は,自己が所有する家屋に一人で居住していたが,同家屋に掛けられた火災保険の保険金を詐取しようと考え,同家屋に放火して全焼させ,公共の危険を生じさせた。甲には自己所有非現住建造物等放火罪(刑法第109条第2項)が成立する。[№24]

イ.甲は,競売手続を妨害する目的で,人が住んでいるように見せ掛けるため,空き屋であった家屋に家財道具を持ち込むなどして住居として使用可能な状態にした上,自己が経営する会社の従業員5名を約1か月半前から10数回にわたり交替で泊まり込ませていたところ,同従業員らが不在にしている隙に,同家屋に放火して全焼させた。甲には現住建造物等放火罪(刑法第108条)が成立する。[№25]

ウ.甲は,乙が住居に使用する家屋及びこれに隣接する丙が住居に使用する家屋を燃やそうと考え,乙の家屋に放火してその火を丙の家屋に燃え移らせ,乙及び丙の各家屋を共に全焼させた。甲には1個の現住建造物等放火罪(刑法第108条)が成立する。[№26]

エ.甲は,住宅街の中にある駐車場内に駐車されていた乙所有の自動車にガソリンをまいて放火したところ,同自動車が勢いよく炎上し,その付近に駐車されていた所有者の異なる自動車3台に火が燃え移りかねない状態になったが,付近の建造物に燃え移る危険は生じなかった。甲には他人所有建造物等以外放火罪(刑法第110条第1項)は成立しない。[№27]

オ.甲は,乙が住居に使用する家屋を燃やそうと考え,同家屋の6畳和室に敷かれた布団に灯油をまいて放火し,火は布団からその下に敷かれた畳に燃え移って炎上したが,他に燃え移る前に乙によって消し止められた。甲には現住建造物等放火罪(刑法第108条)の既遂罪が成立する。[№28]

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