〔第2問〕(配点:2)

次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№3])

ア.甲は,同僚Aを会社の備品倉庫内に閉じ込めて困らせようと考え,午後7時頃,Aが一人で作業をしていた同倉庫の全ての出入口扉に外側から鍵を掛けた。Aはそのことに気付かず,もともと同倉庫で深夜遅くまで仕事をするつもりであったので,そのまま作業を続けていたところ,午後10時頃,たまたま同倉庫にやって来た他の従業員が出入口扉の鍵を開けた。この場合,甲には監禁罪は成立し得ない。

イ.甲は,別居中の元妻Aが単独で親権を有する生後数日のBを連れ去ろうと考え,A方を訪問した上,Aがトイレに行っている隙に,ベビーベッドで寝ていたBを連れ去った。この場合,Bには移動の自由が全くないから,甲には未成年者略取罪は成立し得ない。

ウ.甲は,捜査車両をのぞき見て同車両のナンバーを把握するため,警察署の建物及び敷地への外部からの立入りを制限するとともに内部をのぞき見ることができない構造として作用し,建物の利用のために供されている高さ約2.5メートルのコンクリート塀を正当な理由なくよじ登り,その上部に立って同警察署の敷地内の捜査車両を見て立ち去った。この場合,甲には建造物侵入罪は成立し得ない。

エ.甲は,Aに恨みを抱き,「ふざけるな。おまえの妻Bを酷い目に遭わせてやる。」という電子メールをA宛てに送り付けた。BがAの内縁の妻であった場合,甲には脅迫罪は成立し得ない。

オ.甲は,深夜,A方に侵入し,泥酔して熟睡中のAにわいせつ行為をして,Aに全く気付かれないままA方を出た後,A方から約100メートル離れた路上で,警ら中の警察官Bから職務質問を受けたため,逮捕を免れる目的で,Bを拳骨で殴打してBに傷害を負わせた。この場合,甲には準強制わいせつ致傷罪は成立し得ない。

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