〔第18問〕(配点:2)
信用及び業務に対する罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄は,[№30])
№30
1.信用毀損罪における「流布」とは,虚偽の風説を不特定又は多数の人が認識可能な状態に置くことをいい,行為者自らが直接に不特定又は多数の人に告知する場合のみならず,特定かつ少数の者を通じて順次不特定又は多数の人に伝播させる場合も含まれる。
2.電子計算機損壊等業務妨害罪は,電子計算機に向けられた加害行為を手段とする業務妨害行為を処罰対象とするものであるところ,同罪の加害行為は,「人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊」することと「人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え」ることに限られる。
3.威力業務妨害罪における「威力を用いて」とは,人の意思を制圧するような勢力を行使することをいい,このような勢力が業務に従事している人に対して直接行使されることを要する。
4.信用毀損罪は,公訴が提起されることにより公判において事件の内容が明らかになり,かえって被害者の信用が損なわれる事態を招くおそれがあるため,被害者による告訴がなければ公訴を提起することができない。
5.強制力を行使しない公務は,業務妨害罪における「業務」には該当するが,公務執行妨害罪における「職務」には該当しない。