〔第15問〕(配点:2)

学生A,B及びCは,身分犯の共犯に関して,次の【会話】のとおり検討している。【会話】中の①から③までの()内から適切なものを選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№23])

【会話】

学生A.私は,刑法第65条第1項は構成的身分の連帯作用を,同条第2項は加減的身分の個別作用を定めたものであると考えます。そして,財物を占有していない甲が,その財物を業務上占有する乙を教唆して,その財物を横領させた事案では,甲には,業務上横領罪の教唆犯が成立すると考えます。

学生B.A君は,業務上横領罪における「業務」や「占有」という点について,①(a.「業務上占有」していることが,非占有者との関係で構成的身分・b.「占有」は構成的身分であり,「業務」は加減的身分)と考えているのですね。私は,刑法第65条第1項は「共犯とする」と規定し,身分犯における共犯の成立について定めたもの,同条第2項は「通常の刑を科する」と規定し,非身分者について刑の個別作用を定めたものであると考えています。同じ事案につき,私の立場からすると,甲には,②(c.単純横領罪の教唆犯が成立し,同罪の刑が科せられる・d.業務上横領罪の教唆犯が成立し,同罪の刑が科せられる・e.業務上横領罪の教唆犯が成立し,単純横領罪の刑が科せられる)ことになります。

学生C.B君は,遺失物等横領罪の刑は「通常の刑」ではないと考えているのですね。私は,刑法第65条第1項は行為の違法性に関係する身分,すなわち違法身分の連帯作用を,同条第2項は行為者の責任に関係する身分,すなわち責任身分の個別作用を規定したものであると考えます。私の見解に立ち,占有者という身分を違法身分,業務者という身分を責任身分と考えた場合,甲には,③(f.単純横領罪の教唆犯が成立する・g.業務上横領罪の教唆犯が成立する・h.業務上横領罪の教唆犯が成立し,単純横領罪の刑が科せられる)ことになります。

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