〔第12問〕(配点:2)
詐欺罪に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の立場に従って検討した場合,誤っているものはどれか。(解答欄は,[№19])
№19
1.航空会社の空港係員に対し,内心では,外国への不法入国を企てている知人を搭乗させるつもりであるのに,自らが搭乗するとうそを言って,あらかじめ航空券を購入していた航空便について搭乗券の交付を求め,同係員から搭乗券の交付を受けた場合,当該搭乗券についての詐欺罪が成立する。
2.自動車販売会社の販売員に対し,その代金を支払う意思も能力もないのに,これらがあるように装って自動車の購入を申し込み,分割払いの約定で同販売員から自動車の引渡しを受けた場合,代金完済まで同自動車の所有権が同会社に留保されていても,詐欺罪が成立する。
3.他人名義の国民健康保険被保険者証を利用して消費者金融から借入れをしようと考え,その他人に成り済まして,市役所職員を欺いて国民健康保険被保険者証の交付を受けた場合,詐欺罪が成立する。
4.自己名義の銀行預金口座に多額の誤った振込みがなされていることを知った上で,同銀行の窓口係員に対し,誤った振込みがあった旨を告知することなく同口座の残金全額の払戻しを請求し,同係員から即時にその払戻しを受けた場合,詐欺罪が成立する。
5.他人所有の土地を当該他人から買い受けた事実がないのに,当該他人から盗んだ印鑑を押して登記申請に必要な書類を偽造した上,これを登記官に提出し,当該他人に無断で,自己への所有権移転登記を完了させた場合,当該土地についての詐欺罪が成立する。