〔第16問〕(配点:3)
放火の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[No.26],[No.27]順不同)
No.26,No.27(2つ選んでください)
1.甲は,Aが所有する自動二輪車に放火するため,これに使用するガソリンとライターを所持して同自動二輪車に近づいたが,甲に不審を抱いた警察官から職務質問を受け,放火するに至らなかった。この場合,甲には,放火予備罪は成立しない。
2.甲は,自己が所有する無人の木造倉庫に放火してこれを焼損し,よって公共の危険を生じさせ,その結果,Aが居住する木造家屋に延焼させたが,その延焼についての認識はなかった。この場合,甲には,延焼罪は成立しない。
3.甲は,自己が所有する自動二輪車に放火してこれを焼損し,よって公共の危険を生じさせたが,その公共の危険が生じることについての認識はなかった。この場合,甲には,建造物等以外放火罪は成立しない。
4.甲は,隣人Aが居住する木造家屋を焼損しようと考え,同家屋から1メートル離れた位置にある自己が所有する無人の木造倉庫に放火してこれを焼損したが,同家屋に延焼する危険を生じさせるにとどまった。この場合,甲には,現住建造物等放火未遂罪は成立しない。
5.甲は,Aが1人で居住しており,他に誰もいなかった木造家屋内でAを殺害し,その直後,同家屋に放火してこれを焼損した。この場合,甲には,現住建造物等放火罪は成立しない。