〔第11問〕(配点:2)
刑法上の没収及び追徴に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄は,[No.21])
No.21
1.犯罪行為の用に供した物(刑法第19条第1項第2号)の没収は,物の危険性に着目した処分であるため,行為者が責任無能力を理由に無罪の言渡しをされたときであっても科すことができる。
2.犯罪行為の報酬として得た貴金属を売却して得た現金は,追徴ではなく,没収の対象となる。
3.強制性交の犯人が,被害者に犯行の様子を撮影録画したことを知らせて捜査機関に対し処罰を求めることを断念させる目的で,ひそかに撮影録画したデジタルビデオカセットは,犯罪行為の用に供した物ではないため,没収の対象とならない。
4.犯罪行為によって得た物(刑法第19条第1項第3号)は,犯罪により不当に得た利益を犯人から剥奪する必要があるため,任意的没収ではなく,必要的没収の対象となる。
5.没収の対象は,刑罰の一身専属性の見地から,犯人の所有物に限られる。