〔第5問〕(配点:2)
次の【事例】及び各【見解】に関する後記1から5までの各【記述】を検討した場合,誤っているものはどれか。なお,共同正犯に関する刑法第60条は,結果的加重犯にも適用されることを前提とする。(解答欄は,[No.10])
【事例】
甲乙両名は,2人でVに向けて石を投げることにし,それぞれVに石を投げた。その際,甲には,傷害の故意しかなかったのに対し,乙には,未必的な殺意があった。両名が投げた石のうち,甲の投げた石がVの頭部に当たり,Vが死亡するに至った。
【見解】
A説:共同正犯とは,数人が共同して特定の犯罪を行うことであり,構成要件の間に重なり合いがあれば,そのうちのより重い犯罪について共同正犯の成立を認め,軽い犯罪の故意しか有しない者には,軽い犯罪の刑を科す。
B説:共同正犯とは,数人が共同して特定の犯罪を行うことであり,構成要件の重なり合う限度で軽い犯罪の共同正犯の成立を認め,重い犯罪の故意を有する者には,共同正犯とは別に,その故意に応じた単独犯の成立を認める。
C説:共同正犯とは,数人が犯罪に至る行為過程を含めた行為を共同することであり,特定の犯罪を共同して実現する場合はもちろん,単なる行為を共同して各自の意図する犯罪を実現する場合も,それぞれの行為について共同正犯の成立を認める。
【記述】
No.10