司法試験 / 刑法
2020年 司法試験 刑法 第16問 解説
- 名誉毀損罪
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第16問〕(配点:2)
名誉毀損罪及び侮辱罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄は,[No.28])
- 1.名誉毀損罪及び侮辱罪の保護法益は,いずれも人の外部的名誉であり,法人については,侮辱罪の客体になり得ない。
- 2.死者であっても,その外部的名誉を保護すべきことに変わりはないので,死者の名誉を毀損する事実が摘示された場合も,その事実の真偽にかかわらず,名誉毀損罪が成立し得る。
- 3.特定かつ少数の者に特定人の名誉を毀損する事実を摘示した場合,その内容が拡散する可能性があったとしても,「公然と」事実を摘示したことにはならない。
- 4.風評の形式を用いて人の社会的評価を低下させる事実が摘示された場合,刑法第230条の2にいう「真実であることの証明」の対象となるのは,風評が存在することではなく,そのような風評の内容たる事実が存在することである。正解
- 5.表現方法が嘲笑的であるとか,適切な調査がないまま他人の文章を転写しているなどといった,事実を摘示する際の表現方法や事実調査の程度は,摘示された事実が刑法第230条の2にいう「公共の利害に関する事実」に当たるか否かを判断する際に考慮すべき要素の一つである。
正解: 4
名誉毀損罪 (刑法 230 条) と侮辱罪 (刑法 231 条) の保護法益・構成要件、および 刑法 230 条の 2 の真実性証明の対象に関する横断問題。
1. 誤り。両罪の保護法益はいずれも人の外部的名誉 (社会的評価) で、ここまでは正しい。しかし法人にも社会的評価が認められる以上、法人は侮辱罪の客体になり得る 1。「客体になり得ない」と断ずる本肢は誤り。
2. 誤り。刑法 230 条 2 項は「死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない」と規定する。死者の名誉毀損は虚偽事実の摘示に限られるのであって、「事実の真偽にかかわらず」成立するわけではない 2。
3. 誤り。判例は、特定かつ少数の者に対する摘示であっても、不特定または多数人に伝播する可能性があれば「公然性」を認める (伝播性の理論) 3。「公然とにはならない」と一律に否定する本肢は判例の立場と整合しない。
4. 正しい。風評の形式 (「~という噂がある」等) を用いて他人の社会的評価を低下させる事実を摘示した場合、最決昭和43.1.18(風評・名誉毀損事件) は、刑法 230 条の 2 にいう真実性証明の対象は 風評そのものの存在ではなく、風評の内容たる事実が真実であること であるとした。本肢の整理はこの判旨と完全に一致する。
5. 誤り。刑法 230 条の 2 第 1 項の「公共の利害に関する事実」該当性は、摘示された事実の 内容・性質を客観的に見て 判断される。表現が嘲笑的か、調査が十分かといった「事実を摘示する際の表現方法や事実調査の程度」は、公益目的の有無や真実性誤信における相当性の判断要素ではあっても、「公共の利害に関する事実」該当性そのものの判断要素ではない 4。
よって正解は 4。
Footnotes
-
Wikibooks「刑法第231条」 https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC231%E6%9D%A1 ; Wikipedia「名誉毀損罪」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E8%AA%89%E6%AF%80%E6%90%8D%E7%BD%AA ↩
-
Wikibooks「刑法第230条」 https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC230%E6%9D%A1 ↩
-
Wikipedia「名誉毀損罪」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E8%AA%89%E6%AF%80%E6%90%8D%E7%BD%AA ↩
-
Wikibooks「刑法第230条」 https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC230%E6%9D%A1 ↩