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司法試験 / 刑法

2020年 司法試験 刑法 第20問 解説

  • 強盗罪
  • 違法性
  • 判例

解説

AI 生成

この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。

問題と選択肢

〔第20問〕(配点:2)

次の【事例】に関する後記アからエまでの各【記述】を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[No.36])

【事例】

甲は,某所公園内において,ベンチ上に置いてあるバッグ1個(以下「本件バッグ」という。)を発見し,誰かが置き忘れたものと考え,警察に届け出るため,これを手に取り,同公園から路上に出た。一方,本件バッグをベンチに置き忘れたことに気付いたVは,同公園に戻ろうとして同路上に至ったところ,甲を発見した。Vは,甲が本件バッグを盗んだと疑い,「バッグを返せ。」と言いながら,甲の腹部を2回足で蹴り,甲から本件バッグを奪い,さらに,甲を蹴り上げるような仕草を続けた。甲は,Vの暴行を避けようとして,その胸付近を1回平手で突いたところ,その勢いでVが後方に転倒し,後頭部を路面に打ち付け,失神した。甲は,その頃には,Vが本件バッグの所有者であると分かっていたが,Vの態度に怒りを覚えたことなどから,本件バッグを自己のものにしようと考え,失神しているVからこれを取り上げて自宅に持ち帰った。その後,甲が本件バッグ内を確認したところ,V名義の預金口座のキャッシュカード等在中の財布,V所有の携帯電話機等の物品が入っていた。甲は,これらを見て,Vの氏名,勤務先のほか,携帯電話機にわいせつな盗撮画像が保存されていることを知り,これを奇貨とし,Vから上記キャッシュカードの暗証番号を聞き出して上記口座から預金を引き出そうと思い,勤務先にいたVに電話をかけ,「あんた盗撮してるな。警察に携帯を持って行かれたくないなら,あんたのキャッシュカードの暗証番号を教えろ。」と要求するなどした。Vは,この要求を断れば,盗撮の事実が警察に露見すると思い,やむを得ず甲に同暗証番号を教えた。その後,甲は,上記キャッシュカードを用いて現金自動預払機から現金50万円を引き出した。

【記述】

ア.甲が本件バッグを警察に届け出るために某所公園内から持ち出した行為は,Vによる占有の回復を困難にする行為であるため,窃盗罪又は占有離脱物横領罪が成立する。

イ.Vは本件バッグを甲から取り返す目的で暴行を加えており,この暴行は正当行為に該当するため,甲がVの胸付近を1回平手で突いた行為の違法性が阻却される余地はなく,甲には,暴行罪又は傷害罪が成立する。

ウ.甲が本件バッグをVから取り上げた行為は,甲の暴行に起因するVの失神状態に乗じて本件バッグの占有を取得したといえるため,強盗罪が成立する。

エ.甲が現金自動預払機から現金50万円を引き出した行為は,甲が,これに先行してVから暗証番号を聞き出した時点で,Vの預金の払戻しを受け得る地位を得たことにより,その預金の占有を取得したといえるため,窃盗罪は成立しない。

  1. 1.0個正解
  2. 2.1個
  3. 3.2個
  4. 4.3個
  5. 5.4個

正解: 1 (0 個)

公園のベンチに置き忘れられたバッグをめぐる事案で、不法領得の意思・正当防衛・強盗罪の手段性・ATM からの引出しの罪責が論点。

ア. 誤り刑法 235 条 の窃盗罪、および 刑法 254 条 の占有離脱物横領罪は、いずれも 不法領得の意思 (権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用処分する意思) を要するというのが通説・判例の立場である 1。甲は「警察に届け出るため」にバッグを公園内から路上に持ち出したのであり、この時点で権利者排除意思も利用処分意思もない。よって窃盗罪も占有離脱物横領罪も成立しない。本記述は誤り。

イ. 誤り。本記述は V の暴行を「取り返す目的の正当行為」と評価して甲の反撃の違法性阻却の余地を全否定するが、V の行為は自救行為としての要件 (緊急性・補充性・相当性) を満たすかが問題となるうえ、V が現認したのは「警察に届け出るために持ち出した甲」であって不法な侵害者とは言い難い。さらに V は腹部を 2 回足蹴にし、なお蹴り上げる仕草を続けており、暴行の態様は相当性を欠く。甲の側からは、急迫不正の侵害に対する防衛行為として 刑法 36 条 1 項の正当防衛が成立する余地が十分にあり、「違法性が阻却される余地はなく」との断定は不当。本記述は誤り。

ウ. 誤り刑法 236 条 1 項の強盗罪は、財物奪取の 手段として 反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫を用いることを要する。本問で甲が V を平手で突いた時点では領得意思はなく、防衛行為であった。V が失神した後に新たに領得意思を生じてバッグを取り上げたにとどまり、領得意思に基づく新たな暴行・脅迫は加えられていない。失神中の被害者から財物を取得した行為は、領得意思の発生時点で被害者の反抗抑圧状態を「手段として」作出したものとは評価できず、強盗罪は成立しない (窃盗罪が成立する余地にとどまる) と整理されている 2。本記述は誤り。

エ. 誤り。ATM 内の現金は 銀行の占有 に属する。預金者が暗証番号を知ったとしても、それは銀行に対する預金払戻請求権を行使しうる地位を得たにすぎず、ATM 内現金の占有を取得したわけではない。したがって、不正に取得したキャッシュカードと暗証番号で ATM から現金 50 万円を引き出した行為は、銀行の占有する現金を窃取するものとして別途 刑法 235 条 の窃盗罪が成立すると解されている 3。本記述は誤り。

よって正しい記述は 0 個 → 正解は 1

Footnotes

  1. 不法領得の意思は窃盗罪・占有離脱物横領罪の主観的要件として通説・判例上要求される。Wikipedia「窃盗罪」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AA%83%E7%9B%97%E7%BD%AA ; Wikipedia「占有離脱物横領罪」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%A0%E6%9C%89%E9%9B%A2%E8%84%B1%E7%89%A9%E6%A8%AA%E9%A0%98%E7%BD%AA ; Wikibooks「刑法第235条https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC235%E6%9D%A1

  2. 強盗罪の暴行・脅迫は財物奪取の手段として用いられる必要があり、領得意思発生前の暴行で生じた被害者の反抗抑圧状態に乗じて財物を取得したにとどまる場合は強盗罪を構成しない、と整理される。Wikipedia「強盗罪」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B7%E7%9B%97%E7%BD%AA

  3. ATM 内現金は銀行の占有に属し、不正に取得したキャッシュカード・暗証番号で引き出す行為は別途窃盗罪を構成すると整理される。Wikipedia「窃盗罪」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AA%83%E7%9B%97%E7%BD%AA

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