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司法試験 / 刑法

2020年 司法試験 刑法 第19問 解説

  • 構成要件

解説

AI 生成

この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。

問題と選択肢

〔第19問〕(配点:2)

故意に関する次の各【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち,誤っているものはどれか。(解答欄は,[No.35])

【見解】

A.故意の有無については,構成要件を基準にして判断すべきであるところ,殺人罪においては,行為者の認識した事実と発生した事実とが,「およそ人を殺す」という点で一致していれば故意が認められる。また,行為者の認識した客体に対しても,結果が発生した客体に対しても故意犯が成立する。

B.故意の有無については,構成要件を基準にして判断すべきであるところ,殺人罪においては,行為者の認識した事実と発生した事実とが,「その人を殺す」という点で一致していなければ故意は認められない。

【記述】

  1. 1.甲が,Xを焼死させようと思い,Xの全身に灯油をかけて火をつけたところ,Xが熱さに耐えかね,火を消そうとして近くの湖に飛び込んで溺死したという事例においては,A,Bいずれの見解でも,甲に殺人既遂罪が成立する。
  2. 2.Aの見解に対しては,甲が殺意をもってXを狙い拳銃を発射したところ,弾丸がXの腕を貫通した上,予想外にYの胸部にも当たり,Xを負傷させるとともにYを死亡させたという事例において,行為者に過剰な故意責任を課すことになり,責任主義に反するとの批判がある。
  3. 3.Bの見解によれば,【記述】2の事例で,甲にYに対する殺人既遂罪が成立する。正解
  4. 4.Bの見解に対しては,客体の錯誤と方法の錯誤のいずれに当たるのかが必ずしも明らかではない場合において,故意の有無につき,どのように判断するのか明確ではないとの批判がある。
  5. 5.Bの見解によれば,甲がXを殺害しようと考え,Xと似た者を見付けて,Xと思い,その者をナイフで刺し殺したが,実際には,その者はYであったという事例において,甲にYに対する殺人既遂罪が成立する。

正解: 3

故意の符合をめぐる 法定的符合説 (A)具体的符合説 (B) の対立を問う設問。刑法 38 条 は「罪を犯す意思」を要件とし、行為者が認識した事実と発生した事実とが構成要件のどの抽象度で一致すれば故意を認めるかが争点になる 1

1. 正しい。X を焼死させる目的で灯油をかけて点火し、X が湖に飛び込んで溺死した事案は、客体・結果ともに認識と発生が一致しており、両説の対立は表面化しない (因果経過の錯誤の問題で、両説いずれでも因果関係が認められる範囲)。両説とも甲に殺人既遂罪が成立する。

2. 正しい。A 説 (法定的符合説) は「およそ人」というレベルで符合を判断するため、X を狙った弾丸が貫通して Y にも当たり Y を死亡させた事例では、X に対する殺人未遂と Y に対する殺人既遂 が並立して成立し得る。これに対しては、行為者が認識していない客体にまで故意犯の成立を肯定するのは過剰な責任を課すことになり責任主義に反する、という古典的批判が向けられている 2

3. 誤り。B 説 (具体的符合説) は「その人」という具体的同一性が認識と発生で一致して初めて故意を認める立場である 2。記述 2 は方法の錯誤事例であり、甲が認識した客体は X であって Y ではない。したがって B 説では Y に対する故意は否定され、Y に対しては過失致死罪が問題となるにとどまる。「Y に対する殺人既遂罪が成立する」とする本肢は B 説と整合しない。

4. 正しい。B 説では客体の錯誤 (故意肯定) と方法の錯誤 (故意否定) で結論が真逆になるため、両者の区別が事案上明確でない場合に故意の有無の判断が一義に決まらない、という批判が向けられる 2

5. 正しい。X だと思って目の前の人物をナイフで刺し、実際には Y だった事案は 客体の錯誤 である。B 説でも、行為者が認識した客体 (目の前の「その人」) と結果が発生した客体は具体的に同一であるため、故意は阻却されず Y に対する殺人既遂罪が成立する 2

よって誤っているのは記述 3 で、正解は 3

Footnotes

  1. Wikipedia「故意 (刑法)」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%85%E6%84%8F_(%E5%88%91%E6%B3%95)

  2. Wikipedia「方法の錯誤」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%AE%E9%8C%AF%E8%AA%A4 2 3 4

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