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司法試験 / 刑法(短答)

2020年 司法試験 刑法(短答式) 第5問 解説

  • 共犯
  • 判例

解説

AI 生成

この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。

問題と選択肢

〔第5問〕(配点:2)

共犯と錯誤に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[No.7])

ア.甲及び乙がAに対する暴行を共謀したが,Aの態度に激高した甲が殺意をもってAを殺害した場合,甲及び乙に殺人罪の共同正犯が成立するが,乙は傷害致死罪の刑で処断される。

イ.甲及び乙がAに対する強盗を共謀したが,その強盗の機会に,甲が過失によってAに傷害を負わせた場合,甲及び乙に強盗致傷罪の共同正犯が成立する。

ウ.甲及び乙が共謀して,公務員Aに虚偽の内容の公文書の作成を教唆することにしたが,乙はAを買収することに失敗したため,甲に無断で,Bに公文書を偽造することを教唆し,Bが公文書を偽造した場合,甲に虚偽公文書作成罪の教唆犯が成立する。

エ.甲が乙にA方に侵入して金品を窃取するように教唆して,その犯行を決意させたが,乙はA方と誤認して隣のB方に侵入してしまい,B方から金品を窃取した場合,甲にB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯は成立しない。

オ.甲が乙の傷害行為を幇助する意思で,乙に包丁を貸与したところ,乙が殺意をもってその包丁でAを刺殺した場合,甲に殺人罪の幇助犯が成立し,傷害致死罪の幇助犯は成立しない。

  1. 1.0個
  2. 2.1個正解
  3. 3.2個
  4. 4.3個
  5. 5.4個

正解: 2

共犯者間で共謀した内容と実行された結果が食い違った場合の処理 (共犯と錯誤) を、各事案類型ごとに判例の結論に当てはめる問題。共謀内容と実行結果が同一構成要件内なら共犯は実行結果について成立し、構成要件を異にする場合には両罪の重なり合う限度で共犯が成立する。

ア. 誤り

判例 (最決昭54.4.13(殺人と傷害致死の共同正犯事件)) は、暴行・傷害を共謀した共犯者の一人が殺意をもって被害者を殺害した場合、殺意のなかった共犯者については傷害致死罪の共同正犯が成立すると判示している。すなわち、乙には殺人罪の共同正犯ではなく、傷害致死罪の共同正犯そのものが成立する (重なり合う限度での共同正犯)。本記述は「殺人罪の共同正犯が成立するが、乙は傷害致死罪の刑で処断される」とするが、最決昭54.4.13 は乙に殺人罪の共同正犯の成立を認めない点でこの記述は誤っている。

イ. 正しい

刑法 240 条前段の強盗致傷罪は、強盗を基本犯とする結果的加重犯。判例 (最判昭22.11.5(強盗傷人結果的加重犯共同正犯事件)) は、強盗の共犯者中の一人が施用した暴行から被害者に傷害が生じた場合、共犯者全員に強盗傷人罪が成立するとし、その理由を強盗傷人罪が結果犯であることに求めた。

加重結果について共犯者の認識・故意は不要であり、過失による傷害の発生もこの射程に含まれる。甲・乙に強盗致傷罪の共同正犯が成立する本記述は判例の立場と整合する。

ウ. 誤り

判例 (最判昭23.10.23(公文書無形偽造教唆共謀事件)) は、刑法 156 条の虚偽公文書作成 (無形偽造) を教唆することを共謀した者の一人が有形偽造 (刑法 155 条) の教唆という手段を選んでこれにより目的を達した場合、他の共謀者は実行された公文書偽造教唆の結果について故意の責任を負うとする。

同一公文書の有形偽造と無形偽造は罪質を同じくし法定刑も同一であるため、認識の齟齬が故意責任を阻却しないとされる (最判昭37.7.17(公文書有形偽造・無形偽造罪質同一性事件))。

したがって甲に成立するのは虚偽公文書作成罪の教唆犯ではなく、現に実行された公文書偽造罪 (155 条) の教唆犯である。本記述は誤り。

エ. 誤り

教唆対象である客体が乙の認識 (A 方) と現に侵入・窃取された客体 (B 方) で食い違っているが、いずれも住居侵入罪 (刑法 130 条)・窃盗罪 (刑法 235 条) という同一構成要件内の客体の錯誤にすぎない。

判例 (最判昭25.7.11(教唆対象客体錯誤事件)) は、犯罪の故意の成立には認識した事実と現実の事実が具体的に一致することは必要なく、犯罪の類型として規定している範囲で一致すれば足りるとし、教唆者は被教唆者の犯罪が教唆に基づくものである以上、被害者が異なっていても教唆犯の責任を負うとする。

よって甲には B 方への住居侵入罪および B に対する窃盗罪の教唆犯が成立する。「成立しない」とする本記述は判例と逆である。

オ. 誤り

判例 (最判昭25.10.10(傷害幇助意思・殺人実行事件)) は、傷害を加えるかも知れないと認識しながら凶器を貸与した者について、正犯が殺意をもって被害者を刺殺した事案で、傷害致死幇助 (刑法 205 条、62 条 1 項) として処断すべきとした。

幇助者には殺意がなく殺人罪の故意を欠くから殺人幇助は成立せず、傷害幇助の故意の範囲で生じた死亡結果について傷害致死罪の従犯が成立する (傷害致死罪と殺人罪の重なり合う限度で従犯が成立)。

本記述は「殺人罪の幇助犯が成立し、傷害致死罪の幇助犯は成立しない」とするが、判例の結論はこれと真逆である。誤り。

各肢の整理

正誤主軸判例
誤り最決昭54.4.13
正しい最判昭22.11.5
誤り最判昭23.10.23 (補強: 最判昭37.7.17)
誤り最判昭25.7.11
誤り最判昭25.10.10

正しいのはイの 1 個。よって正解は 2。

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