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司法試験 / 刑法

2019年 司法試験 刑法 第11問 解説

  • 構成要件
  • 判例

解説

AI 生成

この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。

問題と選択肢

〔第11問〕(配点:3)

次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は,[№20],[№21]順不同)

  1. 1.甲は,乙から,甲宛てに荷物を発送したので受け取ってほしいと依頼され,もしかしたら同荷物には覚せい剤を含む身体に有害で違法な薬物が入っているかもしれないと思いながら,乙が覚せい剤を忍び込ませた荷物を受け取って所持していた。この場合,甲には,覚せい剤取締法違反(覚せい剤所持)の罪が成立する。
  2. 2.甲と乙は,丙に暴行を加えて傷害を負わせることを共謀したところ,乙において,丙に暴行を加えている最中に興奮して殺意を生じ,丙を殺害した。この場合,甲には,傷害罪の共同正犯が成立する。正解
  3. 3.甲は,乙が第三者から窃取した指輪を,もしかしたら盗品かもしれないと思いながら,あえて有償で乙から譲り受けた後,同指輪に乙と同じイニシャルが刻み込まれていることに気付き,盗品ではないと確信するに至った。この場合,甲には,盗品等有償譲受け罪が成立する。
  4. 4.甲は,わいせつな映像を録画したDVDを,あらかじめその内容を再生して確認し,この程度ではわいせつ物には当たらないと考えて,多数の者に販売した。この場合,甲には,わいせつ物頒布罪が成立する。
  5. 5.甲は,乙を殺害しようと考え,乙の背部を狙って拳銃の弾丸を発射したところ,同弾丸が乙ではなく,乙の隣にいた丙の腹部に当たり,丙を死亡させた。この場合,甲には,乙に対する殺人未遂罪と丙に対する重過失致死罪が成立する。正解

問題のリキャップ

故意・違法性の意識・共犯と錯誤・抽象的/具体的事実の錯誤を横断的に問う問題。判例の立場で 誤っているもの 2 個を選ぶ。

正解: 2 と 5

1. 正しい: 未必の故意で薬物所持成立

「もしかしたら違法薬物が入っているかもしれない」と認識しつつあえて受け取って所持した場合、未必の故意 (= 結果発生の可能性を認識し、その実現を認容する心理状態) が認められる。実際に覚せい剤が入っていれば、覚せい剤所持の故意犯が成立する (判例・通説)。

2. 誤り: 死亡結果まで生じれば傷害致死罪の共同正犯

傷害を共謀した甲乙の一方 (乙) が暴行中に殺意を生じ被害者を殺害した場合、乙には殺人罪が成立する。問題は共謀者甲の罪責。共謀の射程外で他方が単独で殺意を抱いて結果を発生させた場合でも、判例・通説 (部分的犯罪共同説) は 殺人罪と傷害致死罪が重なり合う限度で軽い罪 = 傷害致死罪 (刑法 205 条) の共同正犯 が甲に成立すると整理する。死亡結果は当初の傷害共謀の射程内 (結果的加重犯) として甲にも帰責される。

本肢は「傷害罪の共同正犯」が成立するとして死亡結果を切り捨てているが、これは判例・通説と整合しない。よって誤り。

3. 正しい: 譲受時に未必の故意あれば既遂

盗品等有償譲受け罪 (刑法 256 条 2 項) は、盗品であることの認識 (未必の故意で足りる) と有償譲受けにより既遂となる。譲受後に「盗品ではない」と確信したとしても、譲受け時点で未必の故意が認められる以上、既遂罪は成立済みであり、事後の認識は罪責に影響しない。

4. 正しい: 故意は事実の認識で足り、わいせつ性の評価の認識不要

わいせつ物頒布罪 (刑法 175 条) の 故意は構成要件該当事実 (わいせつ性を基礎づける記述・映像内容) の認識で足り、それが法的に「わいせつ物」に当たるかの法的評価の認識までは不要 とするのが判例・通説 (構成要件論レベルの「事実の錯誤と違法性の錯誤」の振り分けで処理する立場)。本肢の甲はあらかじめ内容を再生して確認しており、わいせつ性を基礎づける事実を認識している以上、故意が認められる。「この程度ではわいせつ物に当たらない」という法的評価の誤信は違法性の錯誤にとどまり、故意阻却にならない。よって、わいせつ物頒布罪が成立する。

5. 誤り: 法定的符合説からは丙への殺人既遂、重過失致死は誤り

甲は乙を狙って拳銃を発射したが、丙に当たって丙が死亡。これは具体的事実の錯誤 (方法の錯誤) であり、判例・通説の 法定的符合説 によれば、同一構成要件内 (殺人罪の構成要件内) の錯誤については故意の符合が認められる。すなわち、丙に対する 殺人既遂罪 が成立し、乙に対しては殺人未遂罪が成立する。判例 (びょう打銃事件等とされるリーディングケース) は 数故意犯説 を採るとされるので両罪が併存する。

本肢は丙について「重過失致死罪」が成立するとしているが、これは故意の符合を認めない具体的符合説の帰結であって、判例の法定的符合説とは整合しない。よって誤り。


よって誤っているのは 肢 2 と肢 5

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