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司法試験 / 刑法

2019年 司法試験 刑法 第15問 解説

  • 正当防衛
  • 判例

解説

AI 生成

この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。

問題と選択肢

〔第15問〕(配点:3)

正当防衛に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№25],[№26]順不同)

  1. 1.当然又はほとんど確実に侵害が予期された場合において,単に予期された侵害を避けなかったにとどまらず,その機会を利用して積極的に相手方に対し加害行為をする意思で暴行に及んだときは,その暴行行為については,正当防衛が成立する余地はない。正解
  2. 2.いわゆるけんか闘争において相手方に対してした暴行行為については,正当防衛が成立する余地はない。
  3. 3.手拳で殴る素振りをしながら「お前殴られたいのか。」と言って近付いてきた相手方を,殺傷能力のある刃物を構えて脅した場合,その脅迫行為については,正当防衛が成立する余地はない。
  4. 4.自己に対しナイフを示して脅している相手方に対し専ら攻撃の意思で暴行に及んだ場合,その暴行行為については,正当防衛が成立する余地はない。正解
  5. 5.財産的権利を防衛するために相手方の身体に暴行を加えて傷害を負わせた場合,その暴行行為については,正当防衛が成立する余地はない。

問題のリキャップ

刑法 36 条 正当防衛について、判例の立場で 正しいもの 2 個を選ぶ。急迫性・防衛の意思・けんか闘争・刃物による脅迫・財産権の防衛など、複数の論点を横断的に問う。

正解: 1 と 4

1. 正しい: 積極的加害意思は急迫性を失わせる

最決昭52.7.21 は、当然または殆ど確実に侵害が予期されていた場合でも、「単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用して 積極的に相手方に対し加害行為をする意思 で侵害に臨んだとき」は、もはや侵害の急迫性が認められないと判示した1

本肢はこの判例の判旨をほぼそのまま述べたもので、判例の立場と整合する。よって正しい。

2. 誤り: けんか闘争でも正当防衛が成立し得る

けんか闘争であっても、相手方の攻撃が予期を超えて急迫性を備える状況に至った場合や、自己の側の攻撃を中止し純粋に防衛に転じた段階では、正当防衛の成立余地が認められると整理されている。「およそ正当防衛の成立する余地がない」と一律に否定するのは通説的整理と異なる。よって誤り。

3. 誤り: 殺傷能力ある刃物の脅迫も状況により正当防衛余地あり

手拳で殴りかかってきた相手方に対し殺傷能力のある刃物を構えて脅した行為は、防衛手段の 相当性 が問題となるが、相手方の攻撃の強度や防衛者側の劣勢等に応じて相当性を肯定する余地はある (= 正当防衛が成立し得る) と整理されている。「およそ余地がない」と一律に否定するのは通説的整理と異なる。よって誤り。

4. 正しい: 専ら攻撃の意思では正当防衛不成立

正当防衛の成立には防衛の意思が必要であり、最判昭60.9.12 は、攻撃的な意思の表れがあっても具体的状況下で防衛の意思を欠くとはいえないとしつつ、専ら攻撃の意思で行為に及んだ場合は防衛の意思を欠き正当防衛は成立しない との法理を前提としている2

本肢はこの法理に沿って「専ら攻撃の意思で暴行に及んだ場合は正当防衛の成立余地がない」と述べており、判例の立場と整合する。よって正しい。

5. 誤り: 財産的権利の防衛も正当防衛の対象

刑法 36 条 1 項の「自己又は他人の権利」には財産的権利も含まれる。判例・通説上、財産的権利を防衛するための実力行使も、急迫性・防衛の意思・相当性を満たせば正当防衛として違法性が阻却され得る。「およそ余地がない」とするのは誤り。


よって正しいのは 肢 1 と肢 4

Footnotes

  1. 最決昭52.7.21 (刑集31巻4号747頁) courts.go.jp

  2. 最判昭60.9.12 (刑集39巻6号275頁) courts.go.jp

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