司法試験 / 刑法
2019年 司法試験 刑法 第19問 解説
- 共犯
- 判例
- 横領罪
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第19問〕(配点:3)
身分犯の共犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№34],[№35]順不同)
- 1.刑法第65条の身分には一時的な心理状態は含まれないので,目的犯に当たる犯罪行為を,当該目的を有する者と有しない者が共同して行った場合,同条の適用の余地はない。
- 2.刑法第65条第2項は加減的身分のない者が当該身分のある者に加功した場合について規定するものであるので,賭博の常習性を有する者が有しない者に賭博を教唆した場合,同項の適用の余地はない。
- 3.非占有者が業務上の占有者による横領行為に加功した場合,当該非占有者には,刑法第65条第1項の適用により業務上横領罪の共犯が成立し,同条第2項の適用により単純横領罪の刑が科される。正解
- 4.刑法第65条の身分は,一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態の全てを指称するものであるので,責任能力のある者が刑事未成年者を教唆して犯罪を行わせた場合,同条が適用される。
- 5.自首による刑の減免は一身的な事由であるので,共犯者のうち一人に自首が成立する場合,刑法第65条第1項の適用はなく,その減免の効果は自首した者以外には及ばない。正解
問題のリキャップ
刑法 65 条 身分犯の共犯に関する 5 つの記述から、判例の立場で 正しいもの 2 個を選ぶ。1 項 (構成的身分・連帯作用) と 2 項 (加減的身分・個別作用) の射程、目的犯の目的・自首・刑事責任年齢などが身分に当たるかが論点。
正解: 3 と 5
1. 誤り: 目的犯の目的は身分に当たる
刑法 65 条 の「身分」は、 一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊な地位または状態 として広く捉えられ、 目的犯の目的のような一時的・主観的事情も身分に含まれる と整理されている。よって、目的犯における目的を有する者と有しない者の共同正犯について 65 条が適用される余地がある。「一時的な心理状態は身分に含まれない」とする本肢は誤り。
2. 誤り: 65 条 2 項は身分のある者から非身分者への教唆等にも適用
刑法 65 条 2 項は「身分によって特に刑の軽重があるとき」に 身分のない共犯者に通常の刑を科す 規定であって、文言上 加減的身分の在り方や関与の方向性を限定していない。判例・通説上、賭博の常習性のある者 (=加減的身分者) が常習性のない者 (=非身分者) に賭博を教唆した場合にも、教唆者に常習賭博罪 (刑法 186 条)、被教唆者に単純賭博罪 (刑法 185 条) の限度で罪責を負わせる構成として 65 条 2 項が機能する。「同項の適用の余地はない」と一律に否定するのは誤り。
3. 正しい: 業務上横領罪の共犯と科刑分離
非占有者が業務上の占有者による横領 (刑法 253 条) に加功した場合、通説的整理として次のようになる。「業務上の占有」は 占有者性 (構成的身分 = 真正身分) と 業務性 (加減的身分 = 不真正身分) の二重の身分から構成されており:
- 65 条 1 項 (構成的身分の連帯作用) により非占有者にも 業務上横領罪の共犯 が成立する
- 65 条 2 項 (加減的身分の個別作用) により非身分者には 単純横領罪 (刑法 252 条) の刑 が科される
この「成立は重い罪・科刑は軽い罪」という二段構成は判例 (最判昭32.11.19 のライン) の立場に対応しており、本肢は正しい。
4. 誤り: 刑事責任年齢は身分ではない
刑事責任年齢 (刑法 41 条) は 責任能力 (犯罪能力) に関する規定であって、犯罪行為についての人的関係を規定する身分ではない。判例・通説上、刑事未成年者を教唆して犯罪を行わせた場合、教唆者は 間接正犯 または 教唆犯 として処理されるが、それは責任能力の有無の問題であって 65 条の身分の問題ではない。本肢は刑事責任年齢を身分として扱う点で誤り。
5. 正しい: 自首減免の効果は自首者に限定
自首による刑の減免 (刑法 42 条) は、犯罪後の自発的自白という 行為者個人の事情 に基づく一身的減免事由である。判例・通説上、共犯者の一人に自首が成立する場合でも、その効果は 自首した者にのみ及び、他の共犯者には及ばない。65 条 1 項 (連帯作用) の適用もない。本肢は正しい。
よって正しいのは 肢 3 と肢 5。