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司法試験 / 刑法

2019年 司法試験 刑法 第14問 解説

  • 横領罪
  • 窃盗罪

解説

AI 生成

この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。

問題と選択肢

〔第14問〕(配点:2)

学生A,B及びCは,次の各【事例】を題材にして,後記【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑧までの()内から適切な語句を選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№24])

【事例】

Ⅰ.店員甲は,自己の担当する売場の商品を勤務時間中にこっそり持ち出して,後日転売した。

Ⅱ.店員甲は,店長乙に言われて,店の売掛金を集金したが,これを持ち逃げした。

Ⅲ.甲は,パーティーで使うために友人乙から借りたネックレスを,無断で質入れした。

Ⅳ.甲は,登記名義を有する所有者乙から自己使用を条件に借りた土地を,しばらく自己使用した後,無断で丙に賃貸して利益を得た。

【会話】

学生A.事例Ⅰにおいて,甲にはどのような財産犯が成立するだろうか。

学生B.店の商品であれば,①(a.店長・b.店員)が占有しているといえるから,②(a.横領罪・b.窃盗罪)が成立すると思う。

学生C.反対だ。占有は,③(a.店長・b.店員)にあると認めるべきだから,④(a.横領罪・b.窃盗罪)が成立すると考える。

学生B.事例Ⅱにおいて,Cさんの見解によれば,甲に(④)は成立するのか。

学生C.成立すると考える。

学生A.その結論は,事例Ⅱにおける判例の立場と一致しない。では,Cさんは,事例Ⅲにおいても,甲に(④)が成立すると考えるのか。

学生C.いや,成立しないと考える。物を人から借りている場合は別だ。

学生B.そうだとすると,Cさんは,事例Ⅳにおいて,甲には,どのような財産犯が成立すると考えるのか。

学生C.土地のような不動産の場合,動産とは異なり,その占有は,⑤(a.登記名義を有する者・b.現実に不動産を占有・使用する者)にあると認めるべきだと思うから,土地に対

する占有の程度・態様が著しく変更された場合,甲には⑥(a.横領罪・b.不動産侵奪罪)が成立する可能性があると考える。

学生A.そうだろうか。⑦(a.横領罪にいう「横領」・b.不動産侵奪罪にいう「侵奪」)があ

ったとはいえないのではないか。むしろ,Cさんの見解によれば,⑧(a.背任罪・b.横領罪)の成否を検討すべきだと思う。

  1. 1.①a②b③b④a⑤a⑥b⑦b⑧a
  2. 2.①a②b③b④a⑤b⑥a⑦a⑧b
  3. 3.①b②a③a④b⑤a⑥b⑦b⑧a正解
  4. 4.①b②a③a④b⑤a⑥b⑦b⑧b
  5. 5.①b②a③a④b⑤b⑥a⑦a⑧b

問題のリキャップ

横領・窃盗・不動産侵奪・背任の境界を、4 つの事例 (店員の商品持ち出し / 集金員の持ち逃げ / 借物の質入 / 借地の無断賃貸) で問う組合せ問題。占有が誰にあるかが境界線を決める鍵。

正解: 3 (① b ② a ③ a ④ b ⑤ a ⑥ b ⑦ b ⑧ a)

学生 B / C の対立軸

事例 Ⅰ (店員が売場の商品を持ち出し転売) について、B と C が 占有の所在 を巡って対立する。

  • B の見解: 店員に占有があるから横領罪が成立する。 → ① b (店員) / ② a (横領罪)
  • C の見解: 占有は店長にあるから窃盗罪が成立する。 → ③ a (店長) / ④ b (窃盗罪)

C の立場 (= 店長占有説) は判例・通説と整合する。店員は店長の 占有補助者 として商品に接するに過ぎず、独立の占有を有しないから、店員が商品を勝手に持ち出すのは窃盗罪となる。

事例 Ⅱ (集金員の持ち逃げ) で C の結論と判例

C の見解では「占有は店長」が原則。Ⅱ 事例は店長から指示されて集金した金銭を店員が持ち逃げした事案。C の論理を貫けば店員が集金中の金銭の占有は店長に残り、持ち逃げは窃盗罪となるはず。C も「成立する」と窃盗罪を肯定する。

ところが、集金員のように 独立の財産的権限を委ねられた者 が集金した金銭を持ち逃げした場合、判例は 集金行為によって集金員自身に独立の占有が成立する (店長から移転するというより、取り立てによって新たに占有が始まる) と解し、横領罪 が成立すると整理する。よって A が「判例の立場と一致しない」と指摘するのは正しい。

事例 Ⅲ (借物の質入)

C は「人から借りている場合は別」として、借受人甲に占有を認め、Ⅲ 事例では窃盗罪は成立しないとする (代わりに横領罪が問題となる)。借物のように受託者が独立の占有を有する場合、占有は借主に移るというのが判例・通説。C もこの場面では占有移転を認めるので横領罪 / 窃盗罪不成立で整合。

事例 Ⅳ (借地の無断賃貸)

C は不動産について 登記名義者 に占有があると整理する → ⑤ a (登記名義者)。すると、自己使用条件で借地を借りた甲が無断で丙に賃貸して利益を得た場合、登記名義者乙の占有を排除して新たに丙に占有を取得させる行為として、不動産侵奪罪 (刑法 235 条の 2) の成立可能性 を検討することになる → ⑥ b (不動産侵奪罪)

A の批判

A は、Ⅳ 事例において「侵奪」(不動産の占有を排除して自己または第三者の占有に移す行為) と評価できる事実があったとはいえないと批判する → ⑦ b (不動産侵奪罪にいう「侵奪」)。判例 (最決平11.12.9 等) でも「侵奪」は占有排除 + 自己/第三者の事実上の占有設定を要件とし、用法逸脱の単なる無断賃貸には及ばないとされる。

C 説の下では甲には占有が認められない (登記名義者 = 乙が占有) ため、横領罪 (刑法 252 条) は 構成要件上初めから検討対象外。残るのは信任関係違背 = 任務違背の側面で、甲は自己使用を条件として乙の信任を受けた者であるから、背任罪 (刑法 247 条) の成否を検討すべきとなる → ⑧ a (背任罪)

結論

組合せ ① b / ② a / ③ a / ④ b / ⑤ a / ⑥ b / ⑦ b / ⑧ a = 肢 3。よって正解は 3

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