司法試験 / 刑法
2019年 司法試験 刑法 第7問 解説
- 罪数
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第7問〕(配点:3)
罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№14],[№15]順不同)
- 1.甲は,乙を恐喝して乙から財物の交付を受けるとともに財産上の利益を得た。甲には,包括して1個の恐喝罪が成立する。正解
- 2.甲は,乙ら3名をその面前で同時に恐喝して3名全員からそれぞれ財物を出させ,その3名分の財物の交付を乙から一括して受けた。甲には,3個の恐喝罪が成立し,これらは併合罪となる。
- 3.甲は,乙を恐喝して乙から財物の交付を受け,その恐喝の手段として用いられた暴行により乙に傷害を負わせた。甲には,恐喝罪と傷害罪が成立し,これらは併合罪となる。
- 4.甲は,恐喝の手段として乙を監禁し,その間に乙を脅迫して乙から財物の交付を受けた。甲には,監禁罪と恐喝罪が成立し,これらは併合罪となる。正解
- 5.甲は,乙が窃取した財物と知りながら,乙を恐喝してその財物の交付を受けた。甲には,盗品等無償譲受け罪と恐喝罪が成立し,これらは併合罪となる。
問題のリキャップ
罪数論の問題。恐喝罪を中心に、同一被害者・同一機会で財物と利益を得た場合の包括一罪、複数被害者への同時恐喝、手段としての暴行・監禁・盗品関与との関係を判例の立場で整理する。
正解: 1, 4
1. 正しい: 財物と利益の包括一罪
同一被害者・同一機会の恐喝で、刑法 249 条 1 項の財物交付と 2 項の財産上の利益取得の双方が生じても、両者は同一の財産的法益侵害として 包括して 1 個の恐喝罪 が成立する (判例・通説)。被害者・機会・犯意が同一であれば、客体が財物と利益にまたがっても構成要件評価は 1 個に収斂する。
2. 誤り: 複数被害者への同時恐喝は観念的競合
乙ら 3 名を その面前で同時に 恐喝しているため、恐喝行為は 1 個の行為で 3 個の犯罪結果を生じている といえる。被害者ごとに 3 個の恐喝罪が成立する点は正しいが、3 罪は 刑法 54 条 1 項前段の 観念的競合 として処理されるのが判例・通説の立場であり、併合罪ではない。
3. 誤り: 恐喝と傷害は観念的競合
恐喝の手段として加えた暴行から傷害結果が発生した場合、暴行は恐喝罪の実行行為そのものであるから、傷害罪と恐喝罪は同一の実行行為に基づいて成立する。判例 (最判昭23.7.29 とされる古典判例) は両罪を 観念的競合 として処理しており、併合罪ではない1。
4. 正しい: 監禁罪と恐喝罪は併合罪 (判例)
恐喝の手段として被害者を監禁した場合であっても、最決平17.4.14 は監禁罪と恐喝罪につき 牽連犯の関係を否定し、両罪を併合罪とする と判示した2。手段・結果の関係が罪質上通例とはいえないとの理解に基づくもので、従前の大審院判例の立場を変更したリーディングケース。
5. 誤り: 盗品等罪と恐喝罪は観念的競合 (or 包括一罪)
盗品と知りながら被害者を恐喝してその財物の交付を受けた場合、1 個の交付行為について盗品等無償譲受け罪 (刑法 256 条 1 項) と恐喝罪 (刑法 249 条 1 項) の構成要件が同時に充たされる。これは 刑法 54 条 1 項前段の観念的競合または包括一罪として処理される構造であり、別個独立の行為を前提とする併合罪ではない。
よって正しいのは 1 と 4。
Footnotes
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最判昭23.7.29 は短刀で被害者の鼠蹊部を突刺し全治 3 週間の切刺傷を加えた事案で、傷害行為が直ちに恐喝行為の手段としてなされたとして刑法 54 条 1 項前段 (観念的競合) を適用した古典判例。courts.go.jp 一次情報 (刑集巻号頁・事件番号・URL) が本稿執筆時点で特定できず判例 DB 未登録。本問 (R1-7) の根拠判例として加藤ゼミナール「罪数処理マニュアル」 https://kato-seminar.jp/exam/170362/ が明示、判旨内容は社会人のスマホ学習ブログ「傷害罪(25)」 https://sumaho-study.com/injury25/ にも逐語引用されており、両ソースで事案・判旨・年月日が一致するため実在判例として高確度。 ↩