司法試験 / 刑法
2019年 司法試験 刑法 第2問 解説
- 詐欺罪
- 判例
- 殺人罪
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第2問〕(配点:2)
次の【事例】に関する後記アからエまでの各【記述】を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№2])
【事例】
甲及び乙は,宝石商の丙から宝石を奪うことを計画した。その計画は,甲が,宝石取引のあっせんにかこつけてホテルの一室に丙を呼び出し,別室の顧客に見せる必要があるとうそを言って丙から宝石を受領し,甲の退室後に,乙が同室に入って丙を殺害するという内容であった。
甲は,計画に従って,ホテルの一室で丙から宝石を受領して退室し,それと入れ替わりに同室に立ち入った乙が丙の腹部を包丁で刺し,丙に重傷を負わせたが,殺害には至らなかった。
【記述】
ア.甲が丙から宝石を受領した行為について詐欺罪が成立すると考えた場合,甲及び乙に,事後強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
イ.甲が丙から宝石を受領した行為について詐欺罪が成立すると考えた場合,同一の被害を二重に評価することはできないため,甲及び乙が,丙から宝石の代金相当額の支払を免れる意図を持っていたとしても,甲及び乙に,殺人未遂罪が成立するにとどまり,いわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
ウ.甲及び乙が,丙から宝石の代金相当額の支払を免れる意図を持っていたとしても,丙がこれを免除又は猶予する旨の財産的処分行為をしていないため,甲及び乙に,いわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
エ.乙が丙の腹部を包丁で刺した行為が,丙から宝石の占有を奪取する手段とならないと考えた場合,甲及び乙に,いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
- 1.0個
- 2.1個
- 3.2個正解
- 4.3個
- 5.4個
問題のリキャップ
甲乙は宝石商の丙から宝石を奪う計画を立てた。まず甲がうそで丙から宝石を受領して退室し、入れ替わりに入った乙が丙を包丁で刺して重傷を負わせたが殺害には至らなかった。詐欺による財物取得と、別人による殺害行為が時間的に分離している事案で、強盗殺人未遂罪 (刑法 240 条) が成立するかが問われる。
正解: 3 (2個)
リーディングケースは 最決昭61.11.181。覚せい剤を詐取後に共犯者が丙を拳銃で射殺しようとした事案で、最高裁は ① 暴行が財物奪取の手段でない以上一項強盗 (による強盗殺人未遂) は成立しないとしつつ、② 詐欺罪と二項強盗殺人未遂罪の包括一罪を認めた。本問はこの判例とほぼ同型であり、各記述はこの立場で検討する。
ア.正しい。事後強盗罪 (刑法 238 条) は「窃盗が」と主体を限定しており、詐欺犯人は主体になり得ない。よって、甲が宝石受領行為について詐欺罪を構成する場合、その後の乙による暴行を事後強盗として捉える余地はなく、事後強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
イ.誤り。最決昭61.11.18 は、詐欺により財物を取得した後に 財物の返還または代金支払を免れる意図 で被害者を殺害しようとした事案について、詐欺罪と二項強盗殺人未遂罪の包括一罪が成立するとした。「同一の被害を二重に評価する」との理由で二項強盗殺人未遂を否定する立場は、判例の採るところではない。詐取財物の返還・代金支払を免れる利益は、財物そのものとは別個の財産上の利益として評価されている。
ウ.誤り。判例は二項強盗 (刑法 236 条 2 項) の成立に被害者の処分行為を要求していない。最決昭61.11.18 も、被害者が代金を免除・猶予する処分行為に出ていない事案でありながら、二項強盗殺人未遂罪の成立を肯定している。よって、丙の処分行為がないことを理由に二項強盗による強盗殺人未遂罪を否定する記述は、判例の立場と整合しない。
エ.正しい。一項強盗 (刑法 236 条 1 項) における暴行は、財物の占有奪取の手段として行われる必要がある。乙の刺突行為が宝石の占有奪取の手段とならない (= 宝石は既に詐欺により甲が取得済みで、暴行は奪取手段として機能していない) と考えれば、一項強盗の前提が崩れ、その結果としての一項強盗による強盗殺人未遂罪も成立し得ない。最決昭61.11.18 も同じ構造で一項強盗 (による強盗殺人未遂) を否定している。
正しいのはアとエの 2 個。よって正解は 3。