司法試験 / 刑法
2019年 司法試験 刑法 第6問 解説
- 刑法各論
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第6問〕(配点:2)
学生A,B及びCは,監禁罪の客体に関して,次の各【見解】のうち,いずれか異なる見解を採り,後記【事例】について【会話】のとおり検討している。学生A,B及びCの採る見解として正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№13])
【見解】
ア.監禁されている時点で移動する一般的な能力がある者は,その時点で移動できなくても,監禁罪の客体となる。
イ.監禁されている時点で移動する一般的な能力があり,その時点で現実に移動できる者は,監禁罪の客体となる。
ウ.監禁されている時点で移動する一般的な能力があり,その時点で現実に移動でき,かつ,移動する意思がある者は,監禁罪の客体となる。
【事例】乙が窓のない部屋の中に一人でいたところ,甲は,午後1時から午後3時までの間,その部屋の唯一の出入口であるドアに外から施錠し,その間,乙がその部屋の外に出られないようにした。
【会話】
学生A.乙が甲による施錠に気付かなかった場合,B君が採る見解によれば,監禁罪は成立しますか。
学生B.成立します。
学生C.私が採る見解でも成立します。では,乙が午後0時30分頃に眠ってしまい,その後,午後2時頃に目覚めて,甲による施錠に気付かないまま午後4時まで室内で過ごした場合,A君が採る見解によれば,監禁罪は成立しますか。
学生A.成立しません。
学生B.私が採る見解では,結論はA君と異なります。では,今のC君の事例を少し修正し,乙が午後3時過ぎに目覚め,甲による施錠に気付かなかったという場合,C君が採る見解によれば,監禁罪は成立しますか。
学生C.成立しません。
- 1.A-アB-ウC-イ
- 2.A-イB-アC-ウ
- 3.A-イB-ウC-ア
- 4.A-ウB-アC-イ正解
- 5.A-ウB-イC-ア
問題のリキャップ
刑法 220 条 の監禁罪について、客体に必要な「移動の自由」をどこまで具体的に要求するかで 3 説が対立する。本問は説そのものの当否ではなく、3 説と複数事例を組み合わせた論理パズル。会話で示された各人の結論から、誰がどの説を採っているかを逆算する。
正解: 4 (A=ウ、B=ア、C=イ)
3 説の整理
| 説 | 一般的移動能力 | 現実の移動可能性 | 移動意思 |
|---|---|---|---|
| ア | 必要 | 不要 | 不要 |
| イ | 必要 | 必要 | 不要 |
| ウ | 必要 | 必要 | 必要 |
ア → イ → ウ の順に客体の要件が厳しくなる入れ子関係。アで不成立ならイ・ウでも不成立、ウで成立ならイ・アでも成立、という単調性が解法の鍵。
各事例での 3 説の帰結
施錠時間は午後 1 時〜午後 3 時。各時点での乙の状態を当てはめる。
事例 1 (最初の事例: 起きていて施錠に気付かない)
乙は施錠の全時間帯を通じて起きているが、施錠の事実を知らない。
- 一般的移動能力: あり
- 現実の移動可能性: あり (覚醒しており身体的に移動できる)
- 移動意思: なし (施錠に気付いていないので脱出意思なし)
| 説 | 帰結 |
|---|---|
| ア | 成立 |
| イ | 成立 |
| ウ | 不成立 |
事例 2 (Cの出題: 12:30 就寝 → 2 時頃目覚め → 気付かず 4 時まで在室)
施錠開始 (1 時) 時点で乙は就寝中。目覚めた 2 時以降も施錠に気付かない。監禁罪は継続犯であり、施錠 (拘束) が継続している時間帯のうち客体性を満たす局面があれば、その時間帯について監禁罪が成立する点に注意。
- 一般的移動能力: あり
- 現実の移動可能性: 1 時時点では睡眠中で移動不可。2 時以降は覚醒しており移動可能。
- 移動意思: 施錠に気付かないため一貫してなし
| 説 | 帰結 |
|---|---|
| ア | 成立 (一般的能力で足りる) |
| イ | 成立 (2 時以降の覚醒中は現実の移動可能性あり、意思は不要) |
| ウ | 不成立 (移動意思を欠く) |
事例 3 (Bの出題: 12:30 就寝 → 3 時過ぎ目覚め)
施錠時間帯 (1 時〜3 時) の全期間を通じて乙は就寝中。目覚めた時には施錠は既に解かれている。
- 一般的移動能力: あり
- 現実の移動可能性: 施錠時間帯を通じて睡眠中のため一貫してなし
- 移動意思: 同様になし
| 説 | 帰結 |
|---|---|
| ア | 成立 |
| イ | 不成立 |
| ウ | 不成立 |
会話との突き合わせ
(i) B: 事例 1 で成立. 該当する説はアまたはイ。
(ii) A: 事例 2 で不成立. 不成立となるのは ウのみ (アは一般能力で成立、イも 2 時以降の覚醒で成立)。 → A = ウ 確定。
(iii) B「事例 2 で結論はAと異なる」 → B は事例 2 で成立。アまたはイで成立だが、ここではまだ絞れない。
(iv) C: 事例 3 で不成立. 不成立となるのはイまたはウ。3 人が異なる説を採るという前提と A = ウ から、C ≠ ウ。 → C = イ 確定。
(v) B = ア (消去法). B がアならば事例 1・事例 2 ともに成立となり、(i)(iii) と整合する。
結論
| 学生 | 採る見解 |
|---|---|
| A | ウ |
| B | ア |
| C | イ |
この組合せは肢 4。よって正解は 4。