司法試験 / 刑法
2019年 司法試験 刑法 第17問 解説
- 構成要件
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第17問〕(配点:4)
過失犯に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[№28]から[№32])
ア.刑法第38条第1項ただし書の「法律に特別の規定がある場合」とは,過失犯を処罰する旨の明文の規定がある場合に限られない。[№28]
イ.公務員が法令により付与された権限を行使するか否かについて,当該公務員に裁量が認められている場合,その権限の不行使を注意義務違反とする過失犯が成立することはない。[№29]
ウ.行政取締法規の義務は,過失犯の注意義務にもなるため,行政取締法規の義務を遵守する限り,他に慣習等から導かれる義務を遵守せずとも,過失犯が成立することはない。[№30]
エ.過失犯が成立するには,因果経過の予見可能性を要するため,現実の結果発生に至る経過を逐一具体的に予見できなければ,過失犯が成立することはない。[№31]
オ.業務上過失致死傷罪の「業務」とは,人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって,かつ,その行為が他人の生命身体等に危害を加えるおそれのあるものをいうため,他人の生命身体の危険を防止することを義務内容とする業務は,これに含まれない。[№32]
- 1正解
- 2
- 1
- 2正解
- 1
- 2正解
- 1
- 2正解
- 1
- 2正解
問題のリキャップ
過失犯の総論的論点 (過失犯処罰規定の在り方・公務員の権限不行使と過失・行政取締法規と注意義務・予見可能性の対象・業務上過失致死傷罪の「業務」の意義) について、判例の立場で各記述を判定する。
正解: ア=1, イ=2, ウ=2, エ=2, オ=2
ア (正しい)
刑法 38 条 1 項ただし書は「法律に特別の規定がある場合」過失犯を処罰すると定める。この「特別の規定」は 明文で「過失」と明示しているものに限られず、規定の解釈上過失犯を含むことが明らかな場合 (特別法の処罰規定が文言上故意過失を区別せず、立法趣旨上過失犯処罰が当然と解される場合等) も含まれると解されている。よって本肢は正しい (=1)。
イ (誤り)
公務員が法令により付与された権限について裁量を有する場合でも、その裁量が消滅し権限の不行使が 著しく不合理 と認められる場合には、不行使を注意義務違反として 過失犯が成立し得る。公務員の不作為についても業務上過失致死傷罪が成立し得るとされた事案 (雑踏警備の警察職員の業務上過失致死傷罪を認めた古典判例とされる射程等) からも、「裁量があれば一切過失犯は成立しない」と一律に否定するのは判例の立場と整合しない。よって誤り (=2)。
ウ (誤り)
過失犯の注意義務は、行政取締法規の義務にとどまらず、社会生活上の経験則・慣習・条理など からも導かれると解されている。したがって、行政取締法規を遵守していたとしても、これらから導かれる別途の注意義務に違反した場合には過失犯が成立し得る。本肢は注意義務の発生根拠を行政取締法規に限定する点で誤り (=2)。
エ (誤り)
過失犯における予見可能性について、結果発生に至る因果経過の基本的部分 が予見可能であれば足り、現実の結果発生に至る経過を逐一具体的に予見できる必要はないと整理されている (相当因果関係の枠組内での予見可能性論)。逐一具体的な予見可能性まで要求するのは通説的整理と異なる。よって誤り (=2)。
オ (誤り)
業務上過失致死傷罪 (刑法 211 条) の「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、他人の生命身体等に危害を加えるおそれのあるもの、または 他人の生命身体の危険を防止することを義務内容とするもの をいうと整理されている。すなわち、危険を防止する職務 (警察官の警備、医師、保安要員等) も「業務」に含まれる。
本肢は「他人の生命身体の危険を防止することを義務内容とする業務は含まれない」とするが、この種の業務も業務上過失致死傷罪の「業務」に含まれると整理されている。よって誤り (=2)。
よって、ア=1、イ=2、ウ=2、エ=2、オ=2。